コネクテッドホームとインテリジェントビル:信頼性、コンバージェンス、コネクティビティの解決法

トレンド

信頼性、
コンバージェンス、
コネクティビティの解決法

TEは製品をスマートにつなげる多くの電子部品を提供しています。

自動化された住宅の構想は決して新しいものではない。この構想は1930年代から世界博覧会で提案され、大衆文化でもTV番組や映画で未来の家庭生活として描かれ、住宅の自動化による利点に対する一般大衆の考えを固定化させた。

1980年代には、自動化された住宅の現代版が市場に現れ始めた。「コネクテッドハウス」の構想は最初全米ホームビルダー協会によって紹介され、現在私たちが考える「ホームオートメーション」というものの基礎が築かれた。コネクテッドハウスは、現代の家の中に存在するあらゆる機器を配線、接続、制御する新しい方法を紹介した。しかしその建設は費用が高すぎ面倒かつ難しかったことから、高級住宅建設市場に限定されてしまった。

1990年代はホームオートメーション技術の停滞期であった。大部分において、占有(かつ高価な)システムは高級住宅にしか利用できなかった。これらの専有技術はしばしばシステム固有であり、住宅の照明または娯楽システムのみを制御するものであった。これらのシステムを単一で結合性があり、容易に制御できるものにまとめるという挑戦には、技術的に最も目先が利くシステムインテグレータのみが取り組んだ。

一方、電力線通信システムにおいて日曜大工(「DIY」)市場が成長し、同市場への早期参入者がホームオートメーション用のワイヤレス製品を導入した。革新者は自動で組立を行う、非定型のワイヤレスネットワークプロトコルの開発を開始した。21世紀に変わる頃、このようなプロトコルから現在一般的に普及しているZigBee標準が出現した。

2000年以降最初の10年間は、技術革新者たちがホームオートメーション向けに様々な独自のオープンワイヤレス・無線通信プロトコルを開発した。ZigBee、ZWave、EnOCean、C-Bus、KNXなどのプロトコルによって、この時代のホームオートメーション用アプリケーションの開発が促進された。これらのプロトコルはホームオートメーションの「言語」であり、機器がお互いに会話をするためのツールである。このようなプロトコルが開発されたことによって、閉回路用のセンサーやアクチュエーターの実際の必要性とインターネットに接続された機器の実態が明白になり、ホームオートメーションのソリューションがわかるようになった。 

コンバージェンス

技術コストが下がり、消費者がスマートホームのソリューションに一層興味を持つようになり、クラウドの効率性への依存が大きくなると、より洗練された利用しやすいホームオートメーション用のソリューションが出現するようになる。

現在ホームオートメーションの世界市場は、現代の住宅において制御可能なすべての要素を網羅している。インターネットに接続された照明器具、電化製品、娯楽機器、アクセス機器は専門業者用にもDIY用にも市販されている。

安全上およびセキュリティ上の問題、節電の潜在、利便性に動かされて、照明、安全性、セキュリティ、娯楽、HVAC、エネルギー管理など主要なホームオートメーションの要素は既存の技術で制御可能となっている。市場ドライバーと技術のコンバージェンスにより、市場成長の大きな可能性が生まれ、2012年には推定36億ドルであった市場全体の価値は、2019年までに164億ドルに成長すると見込まれている。この成長は全世界のホームオートメーションの市場シェア40.7%を占める北米によって牽引されている(*1)。

安全性とセキュリティ

SHaaS(サービスとしてのスマートホーム)を通してホームオートメーションの拡大サービスを提供する土台として、ADT(*2)のような定評のあるセキュリティ会社がスマートホームトレンドを後押ししている。さらに、AT&Tやコムキャストのようなブロードバンドプロバイダーや、ブリティッシュガスのようなエネルギー会社もSHaaS(*3)によって新しい収入源を獲得している。ブロードバンド、ケーブル、エネルギーの運営会社は本市場で成功する特異な位置づけにある。彼らのエネルギー管理やデータアクセスサービスに依存する何百万人の顧客がいるからである。

このようなサービスプロバイダーは構成要素を独自に設計することはほとんどないため、市販されていて操作が共通で簡単に導入できる広範なリレー、スイッチ、コネクタ、センサー、パッシブなどのハードウェアがSHaaS市場の成長には必要かつ重要である。 

ネットにつながった
消費者

ネットにつながった消費者はスマートホーム業界の主なドライバーである。米国の消費者の78%がモバイル機器を所有しており、自宅の暖房や冷房システムなどをどこからでも制御できる機能の価値を認めている。会社から自宅の部屋の温度を調整したり、鍵をかけたかどうか確認したりできる機能はたった10年前には実現されていなかった。

モバイル機器に備わっているGPS追跡機能によって、地理的追跡を利用した新しいアプリケーションの可能性が生まれる。例えば家の持ち主が自宅の敷地に入ったらドアの鍵を開け、明かりを点ける機能などが考えられる。個人用のウェアラブルデバイスへのインターフェースからも新しい可能性が考えられる。例えば、ユーザが眠ったら明かりを落としたり、ユーザが目を覚ましたらブラインドを開けたりするためにホームオートメーションシステムに信号を送るフィットネス・健康管理デバイス(*4)などである。

このような健康管理オプションは、高齢者と彼らの自宅にある機器をリアルタイムで見守るシニア対応住宅用アプリケーションなどの新しい市場空間も作り出す。より費用のかかる高齢者用施設(*5)に高齢者を入居させるよりも良い選択肢である。

市場の成長とアプリケーション開発には、コネクティビティに必要なハードウェアが必須となる。

ワイヤレスと無線通信
プロトコル

スマートホーム市場のもう一つの技術的なドライバーは、ワイヤレスと無線通信プロトコルの結合である。開プロトコル、閉プロトコル、通信規格が統一されていないのは、初期段階にある産業にありがちである。この市場においてZigBee、ZWave、KNX、Thread/6LowPAN、Bluetooth LE、Wi-Fiがすべて利用されている。1つのプロトコルに固執している製造者もいれば、2つ以上のプロトコルを製品に使用し危険を防いでいる製造者もいる。

どのプロトコルもそれぞれ長所があり、それぞれ異なっているものの、各プロトコルがホームオートメーションの導入において何ができるか明らかにしており、すべてのプロトコルの市場空間への普及は有用である。しかし、生き残るプロトコルは1つか2つだと思われる。幸運なことに、どのような通信チップまたはプロトコルが使用されていても、コネクティビティを必要とするハードウェアに違いはない。

制限:

スマートホームの採用

スマートホーム市場の成長を促す主な要素を以下に挙げる。

  • 確立された通信プロトコル
  • 上記プロトコルに対応したハードウェア
  • あらゆるホームオートメーションシステム(HVAC、セキュリティ、安全装置、娯楽、照明)と連動するハードウェア
  • モバイル機器用のクラウドベースアクセス
  • クラウドベースのプロトコル間変換
  • 改善された妥当な小売価格

しかし、多くの障害によってホームオートメーションの広範囲な採択が制限されており、これらの障害に言及する価値がある。

データセキュリティ データセキュリティは、ホームオートメーションと機器に接続されたモノのインターネット(IoT)すべてにとっての課題である。新しいシステムまたは製品がリリースされるといつも必ずサイバー攻撃の新しい標的となる(*6)。スマートホームシステムへの攻撃に対する強固なソリューションが近い将来開発される可能性は低い。しかしインターネットに接続している現代の消費者はこのようなリスクには慣れており、コネクティビティによって得られる利益と引き換えにリスクを受け入れている(*7)。
標準化 競合者の幅広いグループにおける結合性と標準化の欠如もホームオートメーション技術が採用される妨げとなっている。消費者は他の機器と共通で使用できない特定のシステムに関わることに対して懸念を表明しており、つまり他のシステムに統合できない製品は利用したくないのである。プロトコルや通信システムの違いは、規模の経済利益を制限するが、新しい技術革新の特性でもある。幸運なことに、プロトコルが異なってもハードウェアは同一であるため、どのプロトコルが標準となったとしても、TEなどの企業が開発中のハードウェアはホームオートメーションの採用を促進する一助となる。
消費者の意識 ホームオートメーション用の多くの機器は現在店頭またはオンラインで購入できるが、多くの消費者は価値提案に戸惑っている。例えば、新しい冷蔵庫を購入しようとしている消費者は、ネット家電の利点と価値を説明してくれる、知識の豊富な店員とインターネット上の包括的なコンテンツを必要とする。販売サイクルにおいて最前線の教育がなされていない場合、消費者は購入を見合わせ、スマートホームの可能性と価値は実現されずに終わってしまう。

スマートホーム市場はいまだ初期の採用段階であり、多くの新興企業が有利な立場を獲得し、消費者の注意をひきつけようと画策している。TEのような製造業者は製品設計と提携し、新しく魅力的なホームオートメーション製品の開発を促進する手助けができる。

TEはスマートホームおよび建築市場において、BCCリサーチ社によるホームオートメーションサプライヤー上位10社を含む大手のホームオートメーション機器OEMと強い結びつきがある。ホームオートメーション機器の効率的な製造、組み立て、導入にはコネクティビティが重要であり、TEの製品はホームオートメーション革新を推進するOEM製品に組み込まれている。TEが直販関係や販売提携会社を通して、第二層のOEMおよび第三層の新興企業にも重点を置くことにより、TEはこの急速に発展する市場において主要な構成部品サプライヤーとしての地位を獲得できる。

TEの顧客との関係はハブ、人感センサー、家電、HVAC機器、サーモスタットなど様々なホームオートメーションカテゴリーに及んでいる。TEの相互接続およびスイッチング技術は、ホームオートメーションシステムの開発において重要な役割を果たしている。例えばTEは電気相互接続を使用して電力と信号を内部で、ときには外部から送受信し、切り替え部品を介してこれらの機器内で電気や信号を送受信する(例えば、各ワイヤレスまたは有線制御のコネクテッドAC壁コンセントは電力リレーを必要とする)。

以下のようなTEの顧客の機器はオートメーションホームの主なサブシステムすべてに利用されている。

  • 照明機器とその制御
  • 安全装置とその制御
  • セキュリティ装置とその制御
  • 娯楽機器
  • ポータブル家庭用電化製品
  • HVAC機器とその制御
  • エネルギー管理機器とその制御
  • 白物家電
  • ポータブル家電

機器に正しいコネクタ、スイッチ、リレー、またはセンサーを選択し適用することは、故障のない長い製品寿命を保証する鍵となる。例えば、製品の誤った適用はOEMにとって大きな悩みの種となり、修正に何年もかかる製品故障を引き起こすかもしれない。TEの製品・開発エンジニア、アプリケーション・販売エンジニア、アカウントマネジャー、技術専門家のグローバルチームは、設計の最適化が最重要である製品開発工程の初期段階において、顧客が適切な製品の選択という重大な決定を行う手助けをする。

TE製品がホームオートメーション製品開発をサポート

ホームオートメーションが進歩すると、TEの顧客の製品が変化し、今後も同様のことが続く。30年前のサーモスタットを思い出してほしい。大部分は加熱や冷却スイッチのオンオフにバイメタル素子を使った熱電気機械装置であった。

早送りして現在を見てみると、現代のサーモスタットの内部は、TEのコネクティビティやセンサー製品を含む新しい技術を利用して、携帯電話の内部のようになり始めている。例えば、コネクテッドサーモスタットには、電子部品、受動素子、センサー、ファインピッチコネクタ、非常に小さいバッテリーバックアップパックにコネクタを搭載するための極小ワイヤを搭載した複数のプリント基板が組み込まれている。HVAC装置の切り替えおよび制御は必須であり、しばしば薄型リレーが搭載されている。ユーザインターフェースには、セレクターまたはリセットボタンとして小型の触覚スイッチがしばしば使用される。

別の例を挙げてみよう。どの住宅にも壁には必ずユビキタス電源コンセントがあった。この技術は100年近く大きな変化がなかったが、電力リレー、アンテナ、制御回路、そしてもちろんリセットボタンが搭載された、ネットに接続されたコンセントに取って代わられつつある。 

インターネットに接続されたサーモスタットとその内部構造

現代のサーモスタットの内部は、TEのコネクティビティやセンサー製品などの新しい技術を利用して、携帯電話の内部のようになり始めている。

  1. 赤外線人感センサー
    2. 表面実装技術 接触スイッチ
    3. 0.8mm FPCヘッダー
    4. EMIシールディング
    5. IMリレー
    6. 湿度センサー
    7. DIPスイッチ
    8. RTD温度センサー
    9. パッシブセンサー
    10. デュアルバンドアンテナ
    11. 1mm BtoB スタッキングコネクタ

マイクロサイズのコネクタおよびスイッチ
幅広い製品ラインナップにより、TEは最小のセンサー組立部品にマイクロサイズのコネクタとスイッチを提供している。マイクロサイズは重要である。消費者はホームオートメーション機器ができるだけ小さく目立たないことを望んでいる。つまりホームオートメーション機器の内部部品を比例的に小さくする必要があるということだが、機器には様々な機能が追加されるため、小型化はより複雑になる。例えば、人感センサーには周辺光レベルセンサー、マイク、その他のセンサー・監視部品が搭載されている場合もある。

高電流機能
またTEはHVAC装置・機器の高電流コネクタ、スイッチ、切り替えリレーも提供しており、自動化住宅における接続と制御を可能にしている。ネットにつながった電子機器は本質的に低電圧または低電力であり、住宅に特有の高電圧・高電力負荷に切り替えるためのリレーが必要である。この負荷は、壁のコンセントに接続したコーヒーメーカーやトースターから、ネットに接続されたサーモスタットに配線されたボイラーコントローラーまで何でも当てはまる。

製品設計者に対する幅広い選択肢
TEの製品ポートフォリオは包括的であり、設計者は独自のアイディアや製品に必要なものに100%合致したものを見つけることができる。ほとんどすべての電子設計のある時点で、コネクタとセンサーは回路に対して電力および/または信号を送受するために必要である。

上記のサブシステムすべてに共通で使用できるTEのコネクティビティ製品群の一部の高位分類を以下に示す。

  • ターミナルブロック
  • 高速停止コネクタ
  • ポイント停止コンタクト(FASTON、PIDGなど)
  • 小型フォーマットリレー
  • 電力リレー
  • データI/Oコネクタ
  • ファインピッチコネクタ
  • パッシブプリント回路基板部品
  • スイッチ
  • スプリングコンタクト
  • 統合/付加価値機能
  • 高性能ラベル
  1. センサー

カスタムソリューション
TEのエンジニアは顧客のニーズに合ったセミカスタムまたはカスタムデザインを顧客と共同で開発できる。同プロセスはTEのセールスまたはフィールドアプリケーションエンジニアとの共同作業から開始する。

TEのエンジニアは最新のメタルやポリマー素材を使用してカスタムアプリケーションに完全に適合する製品の開発を行う。高速プログレッシブスタンピング、注入成形、様々なメッキ技術、オートメーション化された組み立てなどの幅広い製造技術から適切な技術を選ぶエンジニアの能力は、製造およびエンド顧客のアプリケーションに最適化されたデザインの製品の長期間にわたる生産量の確保に役立つ。

ワイヤレス革新
制御と監視に加えて遠隔通信とワイヤレス通信もスマートホームのエコシステムになくてはならないものである。これらのコネクテッド機能によって消費者の時間とお金を節約し価値を高め、需要と主要な消費者からの採用を促進する鍵となる。

TEは、消費者とOEMに多くの特典を与えるネット家電をより多く利用できるようにするために、家電の接続方法を変更している。例えば、TEの家電チームは、現代の家電に共通の複雑なポイントツーポイントのワイヤハーネスアセンブリをなくしたADNEXHAという製品を開発した。家電内のすべての機器に制御と電力を電子的に送ることで実現した。

その結果、情報を与えるコネクティビティが実現した。洗濯機から洗いモードが完了した、または洗剤が切れそうだというテキストメッセージを受け取る消費者を想像してほしい。ADNEXHAシステムは、家電の詳細情報をメイン家電制御装置にフィードバックし、もし家のWi-Fiシステムに接続されている場合は、家主の携帯端末に家電の状況を知らせるメッセージを送る。

TEの力

TEは顧客のスマートホーム市場での成功を助けるユニークな立場にある。リレー、コネクタなどの材料部品から、センサーなどのスマート部品やアンテナなどのコネクティビティ部品まで、TEは最終製品をスマート化かつインターネット化するためのあらゆる内部要素を提供している。

インテリジェントビル:

TEの好機

商業ビルのオートメーションスペースは多くの点でホームオートメーションとは異なる。商業ビルのオートメーション化は、この10年間比較的停滞気味であり、中国の商業ビル建設ペースの鈍化による商業ビルの建設トレンドに密接に関係している。その結果、ビルのオートメーションスペースの年平均成長率(CAGR)は、世界平均成長率が5.5%(*8)であるのに対し、区域内の一部地域では8.5%、他の地域では5%以下である。商業ビルオートメーション市場の成長予想は、ホームオートメーションと比較してはるかに低い。

商業ビルのオートメーションは初期の空気制御から始まり成熟市場へと発展した。これらのシステムの開発者は、以前は厳しく分離されていた、HVAC制御、セキュリティ・アクセス、照明制御、ビル安全性、物的工場管理など個別のシステムを越えて開発を進めた。今日、統一されたシステムコントローラを介して、BACNETやKNXなどの現代のシリアルバス通信による共通言語を使ってこれらの分離されたシステムが互いに対話できる。

標準化により商業市場における発展を促進 
クラウド機能によって、この市場にこれまでにないレベルの管理と制御をもたらし、現代のビルを過去と比べてはるかにスマートにする複雑なヒューリスティックスを実現した。今日の商業ビルシステムにおいて、ホームオートメーション内で明らかになっているバグや課題の多くは、BACNETやKNXプロトコルの標準化によって解消されてきた。クラウドは複数のビル管理を簡素化し、専用システムを管理する大勢のITスタッフを必要とせず、複数のビルの管理責任者向けのデータ集積者としての役割を果たす。

どちらのシステムも最初は配線で接続されたシステムとして出現したが、アクセスしにくい条件でのコネクティビティを提供するためにワイヤレス分野へと拡張された。しかし、システムの設置、維持、トラブルシューティングの容易性から商業ビルシステムの大部分は有線のままである。

商業システムの安定した信頼性のもうひとつの要因は、建築家、ゼネコン、電気工事請負業者、低電圧管理業者間の密接なコミュニケーションによって、システムがすべて専門的に設置・設計されていることである。複数の工場を管理下におく所有者がほとんどいつも同じシステムを選ぶため、ビル所有者さえもが決定工程にかかわる場合もある。このように設備保守担当者は維持管理し、必要であればトラブルシューティングを行う共通のシステムを保持しており、商業管理スペースにおいて強力なブランド同盟を作り上げている。

センサーに対する高い需要
センサーの必要性は商業ビルスペースにおいてより一層重要である。ビル管理者はだれがいつビルを利用しているか、どれだけのエネルギーが使用されているか、エネルギーがどこで使用されているか、ビルのどこの部分が使用中か、温度、環境条件がどれくらい統一されているか、施設がどれくらい効率的に運用されているか(例:ベアリングが劣化していないか、フィルターが詰まっていないか)など、ビルの状況を知る必要がある。

センサーに加えて、商業ビルには数多くのアクチュエーターが存在する。集中管理システムはビル内の複数の風量センサーから数値を読み取り、動的に風量ダンバーを調整し、ビル全体の均一な風量と快適性を保証する。安全性の観点から、煙・火災感知器がビルのある場所で火災を感知した場合、システムは火災が検知された場所の空気ダンパーを完全に閉めて火に酸素が回らないようし、同時に遠隔作動バルブによってビル火災鎮圧システムを起動する。

コネクテッドビル市場:

TEの役割

コネクテッドビル産業は、ジョンソンコントロールズ、ハネウェル、シーメンズ、シュナイダー、ユナイテッド・テクノロジーなどの世界的な企業で構成されている。システムは有線であることが多いため、TEは特にターミナルブロック分野で豊富なコネクタ製品を提供しており、世界中で使用されているI/Oターミネーション法であるため、本市場での優位性を主張している。

ワイヤレス機器に関してもTE製品に好機がある。どのようなワイヤレス機器にもリセットや設定に使用するスイッチが少なくとも1つ備わっている。多くの場合、DIPスタイルの複数スイッチを使って、様々な特性を異なる機器にハードプログラムしている。

TEが施設や装置の製造に重点を置いているということは、商業ビルのボイラー、空気量調整装置、ACシステムのコネクタやセンサーを提供しているということである。TEのコネクタ、リレー、スイッチ、センサーは、商業ビル機器OEMが提供する主制御ユニット、衛星コントローラー、様々なセンサー機器、アクチュエーターに利用されている。

今後、ビルの居住者の効率性と快適性を最大限にするために、環境品質(空気、快適性、照明)により重点をおき、かつてないほど多くの機器がビルに装備されるようになるだろう。ゼロネットエネルギー(ZNE)ビルのトレンドが高まりつつあり、エネルギー効率は引き続き大きな市場ドライバーとなる。ZNEにはビルを一から設計しなおして、エネルギー使用量を最小にし、太陽光や風力などのジオ資源による再生可能エネルギーの使用を最大限にすることが要求される。ビルのある気候帯によって特性は異なるが、ビルの南側に調整可能な日よけを設置し、窓を覆って夏の間の冷却負荷を最小限に抑えたり、自然光を使用するために明かり窓や光管を多く取り入れて照明に対する電力使用を最小限に抑えたりすることが考えられる。

ホームオートメーション用の機器と同様に、商業ビル用の機器も小型化・スマート化が大幅に進むと考えられる。TEには消費者向け小型機器の相互接続に関する豊富な経験年数と幅広い製品があり、この小型化・スマート化のトレンドに対応できる。