熱収縮チューブ

TE Connectivity の熱収縮チューブ

一層構造熱収縮チューブの正確な測定方法

はじめに

熱収縮チューブは柔軟で伸縮性があります。 また、復元 (収縮) すると形状が変わります。 このホワイト ペーパーは、熱収縮チューブの寸法測定における最も一般的な測定のチェック方法に関するガイドラインを提供することを目的としています。 チューブの測定に関する具体的な質問やチューブのタイプやサイズが用途に適合しているかどうかの判断に関する質問がある場合は、セールス エンジニアまたはフィールド アプリケーション エンジニアに確認してください。

内径 (ID)、外径 (OD)、肉厚

重要事項 熱収縮チューブは OD や ID の測定時に容易に伸張します。 すなわち、一般的な従来の方法で内径を測定すると、チューブが伸張したり楕円形状に変形したりすることになります。 いずれの場合も、実際の直径よりも大きな誤った測定値になる可能性があります。 ほとんどのチューブには伸張時の (未処理の) 形状における最大 ID/OD 仕様が存在しない点に留意する必要があります。 復元前に重要なのは最小 ID であり、復元後に重要なのは最大 ID です。

 

この問題を回避する最もよい方法は、サイズの分かっている一式のプラグ ゲージを使用してチューブの ID を測定することです。 これによってチューブ全体に均一な力が加わることになり、楕円形状に伸張されることはなくなります。 ローエンド仕様のサイズから始めてプラグ ゲージをゆっくりとチューブに挿入し、挿入に抵抗を感じるまで少しずつ大きなプラグ ゲージに換えていきます。 エラストマや非常に柔軟性の高いチューブの中で抵抗なく容易にスライドするプラグ ゲージを採用します。 無理に押し込む必要はありません。チューブが伸張して誤った大きな測定値になる可能性があるからです。 抵抗なくスライドして挿入できる最も大きなゲージがチューブの ID になります。

 

正しい ID が特定できたら、プラグ ゲージがまだ内部にあるうちにカリパスを使用して OD を簡単に測定することができます。 そうすれば、チューブを不注意で圧迫して誤った小さな測定値になることはありません。

 

肉厚の測定は、完全に復元したチューブでのみ行います。 最初にオーブンまたはヒート ガンで試料を復元し、手で扱えるようになるまで冷却させます。 次に、上記のように ID と OD を測定します。 これで、OD から ID を引くことによって平均肉厚が簡単に算出されます。 ピン マイクロメーターを使用して層のシングルポイント測定を行うことができます。 ただし、力の加え方には十分に注意してください。マイクロメーターによってチューブが圧迫されると誤った小さな測定値になることがあります。

 

(接着剤コーティングした) 二層構造チューブは接着剤が溶融して流れるため、異なった取り扱いが必要です。 二層構造チューブの対象となる寸法の測定に関する詳細については、FAE にお問い合わせください。

 

 

 

チューブの伸張による、誤った ID
チューブの伸張による、誤った ID
プラグ ゲージでチューブの丸さを保った、正確な ID
プラグ ゲージでチューブの丸さを保った、正確な ID
チューブが楕円形状に圧縮されることによる、誤った OD
チューブが楕円形状に圧縮されることによる、誤った OD
プラグ ゲージでチューブの圧迫が防止された、正確な OD
プラグ ゲージでチューブの圧迫が防止された、正確な OD

チューブが伸張した状態では明るめの色になります。 黒色は灰色に、赤色はピンク色に変化することがあります。すなわち、未処理の状態の色が復元後の最終的な色であるとはかぎりません。 これは欠陥でありません。色は復元されたチューブで判断されます。未処理の (完全に伸張している) チューブの色ではありません。 色を適切に評価するには、試料を切断して完全に復元させ、冷却しなければなりません。

長さの変化

一般に、加熱時にはチューブの直径が収縮するのと同時に、 長さも収縮します。 このことは、長さの変化、長さ方向変化、収縮などの用語で知られています。いずれの用語も、復元中にチューブが縮小した割合をパーセントで表した測定値を意味します。 チューブの標準仕様は +0/ ‐10% です。 ただし、すべての熱収縮チューブに当てはまるわけではありません。使用しているチューブの仕様を確認してください。

 

他の測定と同様に、単純なプロセスのように思われます。 チューブを測定し、復元後に再測定して、次の式を使用してください。

  • 長さ方向変化:

% L.C. = (L1 ‐ L2) / L2 X 100

  • 各値の意味は以下のとおりです。

L1 = 復元後の長さ

L2 = 復元前の長さ

 

簡単な式のようですが、測定値の誤りの原因となる単純な問題がいくつかあります。 すなわち、次のとおりです。

測定ツールが小さな変化を正確に測定できない。

解決策: 分解能に優れた測定ツールを使用するか、長いチューブを使用します。

オーブンの温度が低すぎてチューブが完全に収縮しない。 収縮は適切な温度で復元したチューブでのみ保証されています。

解決策: 適切な温度を維持できるオーブンまたはヒートガンを使用します。

オーブンを使用する場合、加熱されたチューブの粘着性が高まってトレイの表面に張り付き、通常どおりに収縮できないことがある。

解決策: ワイヤ ラック上またはノン スティック加工されたトレイ上で復元し、チューブの張り付きを最小限に抑えます。 タルク使用トレイを利用することもできます。

復元前のチューブが測定によって伸張しており、想定より収縮する

解決策: 使用中のチューブや試料準備中のチューブは注意して取り扱います。

結論

伸縮性があって形状が変化するという熱収縮チューブの性質上、 寸法の測定には注意が必要です。 しかし、本ホワイト ペーパーに記載の手法を用いることで一貫した正確な結果が得られるはずです。