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LVDT 専門用語

線形可変差動変圧器 (LVDT) 位置センサの専門用語を理解しましょう。

重要な用語

次の 7 つの用語の説明お読みになり、LVDT 位置センサを選ぶ際にお役立てください。

公称線形範囲

LVDT 選びの基本は、コア移動の最大レンジです。コア移動は、所定の線形性のアナログ出力を生成します。フル スケール変位は、コアがゼロ点からこの線形領域内で移動できる距離です。コアはゼロ点から両端に向かって変位するため、線形動作範囲はフル スケール変位の 2 倍です。フル スケール変位がプラスまたはマイナス (±) 表示されている場合は、公称線形範囲と呼ばれます。プラスまたはマイナス表示されていない場合は、LVDT のフル レンジ、フル ストローク、またはトータル ストロークと呼ばれます。LVDT の公称線形範囲は、周波数によって異なります。特定の周波数に合わせて修正されたコアが使われている LVDT では、実際の線形範囲は常に公称値と等しいか公称値を上回ります。用途において最適化された線形性が必須ではない場合、実際の動作範囲が指定された公称線形範囲を大幅に超えることがあります。公称線形範囲は高インピーダンス負荷に対して指定され、通常 50 キロオームから 0.5 メガオームの間です。低負荷インピーダンスは、線形性と公称線形範囲に有害な作用を及ぼします。
 

線形性誤差

LVDT 出力は通常、移動の線形範囲内のコア変位の一次関数であり、出力電圧の大きさとコア変位の関係は基本的に直線です。公称線形範囲を超えると、出力は直線から緩やかな曲線へとずれ始めます。LVDT の公称線形範囲内の最良適合直線とコア変位の統計的比較から、LVDT 出力の最大のズレは LVDT の線形性誤差または非線形性と定義されます。 線形性誤差は、フル レンジ出力の割合 (±%) として表示されるか、直線とズレを包絡する誤差帯域幅とみなされます。LVDT の線形性誤差に対する適切な解釈は、測定用途における LVDT の最終的な用途によって異なります。多くの場合、非線形性は最も大きい誤差であるため、システム精度の指標としても利用されています。 

フル スケール出力

FSO

AC-LVDT では、フル スケール出力は LVDT の出力です。コアがフル スケール変位に位置する、指定された公称出力電圧での一次共振です。ただし、ほとんどの場合、同じ線形範囲の AC-LVDT の比較には感度が使われます。感度は通常、励起電圧 (ボルト) あたりのコア変位 1 インチの 1,000 分の 1 あたりの電圧出力 (ミリボルト) (mV/mil/V) で指定されます。感度は励起周波数に伴って変化するので、励起周波数も指定する必要があります。感度は主に、LVDT の信号調整電子部品に必要とされるゲインに影響します。 DC-LVDT の場合、感度に相当する特性はスケール ファクタで、通常コア変位 1 インチあたりの DC V 出力として表示されます。従来の DC-LVDT の中には感度と同じ単位を使わなければならないレシオメトリック構成もありますが、特定の DC 入力電圧用に指定されたスケール ファクタがある場合もあります。出力が 4 ~ 20 mA 電流ループの DC-LVDT もあり、そのスケール ファクタはミリアンペア/インチ (mA/in) または 1,000 分の1 ミリアンペア (mA/mil) で表示されます。 

分解能

分解能は、LVDT 出力に見られる最小のコア位置の変化です。磁気結合の原則に基づく動作であるため、LVDT の分解能は基本的に無限です。コア位置の微小の変化で出力変化が生じます。実際には、システム分解能の限界は、システムの SN 比と呼ばれる LVDT 出力の変化を感知する関連電子部品の能力です。正しく設計された LVDT 測定システムでは、マイクロインチの分解能も珍しくありません。 

再現性

継続的な動作と環境条件の下でまったく同じ入力を繰り返し、同じ出力を再現するセンサの能力は、センサを選ぶ際の最も重要なポイントです。再現性と呼ばれるこのパラメータは、すべての電気機械測定システムに見られる、省略することも修正することも不可能な静的誤差の唯一の発生源です。再現性の誤差は、センサベースの測定に制約を与えます。優れた LVDT は優れた再現性を備えており、LVDT のコアまたはコイルが取り付けられた物理的構成部品と構造の機械的要因のみに影響を受けます。再現性と分解能は、どちらも全体的な測定誤差に関係しており、フル スケール出力の割合 (%) で表示されます。これらのパラメータは、AC-LVDT にも DC-LVDT にも等しくあてはまります。

HSAR シール型 LVDT
HSAR シール型 LVDT
CD 375 ベント型 LVDT
CD 375 ベント型 LVDT

シール型 LVDT

シールされた LVDT は、液体や気体の浸入からセンサ ハウジングを守ります。 腐食性の媒体や加圧された媒体、高湿度や放射線がある場所での用途では、外部媒体が巻線に侵入できないようにハーメティック シールされた LVDT が推奨されます。 外部媒体が侵入すると、センサの耐久性や信頼性が低下します。このシーリングにより、ほこりや水、蒸気、化学薬品の侵入、さらに極度の温度を防ぐことができます。 この構造では、頑丈なハウジングに加え、ボア ライナとエンド ワッシャが溶接されてハーメティック シールされています。ハーメティック シールされた LVDT は、通常 3000 psig までの動作圧力に耐えることができます。 ハーメティック シールされた構造では、コアも 400°F までの温度に耐えます。

ベント型 LVDT

極度の高圧に対応するため、センサのケースはベント (放出) によって LVDT 線形位置センサ内外の圧力を等化します。 ベント型の LVDT は、高圧・高温・衝撃・振動の影響を同時に受けても耐えることができます。ただし、ベント ホールによって ハウジング内部のコイルが 露出されるので、LVDT を覆っている液体は電気的に非誘導型で科学的に無害である必要があります。 ベント型 LVDT は、-65°F ~ +400°F (-55°C ~ +200°C) の極端な温度と 35 kpsiの動作圧力において動作します。 高温度定格は、これらの温度に対する定格を備えた内部材料を使って達成されます。