航空宇宙産業での RFI/EMI シールドのヒント
著者 David Wall 氏は、Kemtron Ltd. の会長です。
はじめに:
航空宇宙・防衛産業は、RFI/EMI シールドの設計と製品にとって常に主要な原動力となってきました。この分野では EMC (電磁障害適合性) を達成することが安全上重要ですが、日常生活では単なる厄介事でしかありません。Kemtron Ltd. の会長である David Wall 氏が、航空宇宙エンジニアが直面する設計上の課題のいくつかに注目し、利用可能な最善のシールド オプションについて話します。
航空機が落雷を受けるのは珍しいことではなく、その際に電磁パルス (EMP) が発生することがあります。 EMP は電子回路に壊滅的な影響を与えるため、航空機にダメージを与えることなく雷を通す経路を設けることが重要です。宇宙空間には、また別の問題が存在します。たとえば人工衛星は、コロナ質量放出を伴う太陽フレアなど、非常に過酷な電磁環境下にあります。地球上では磁気圏によって守られていますが、衛星にはそのようなものがないため、衛星とそのシステムの安全性を確保するためには、シールドが最も重要な役割を果たします。
電子機器の統合が進むと、システム間の電磁両立性が非常に重要な意味を持つことになり、互いに干渉することなく調和して動作することを保証する必要があります。航空機では機械的なシステムよりもフライバイワイヤ方式が主流で、複雑なソフトウェアがコンピュータ化されたシステムを操作しています。航空機の環境や飛行データなどを測定するセンサのすべてが相互にやり取りを行い、独立して動作し、システムの故障や誤動作に対するバックアップを提供する必要があります。
エレクトロニクス エンジニアはこれに非常に精通しており、EMI をその発生源で解決するために、電子機器の設計において優れた基板レイアウト、フィルタリング、アース、伝送特性などを熟考します。ただし、筐体のシールドも同じように重要であり、放射妨害波や電磁妨害耐性の問題を解決します。筺体の嵌合面は非常に平坦に見え、金属と金属が完全に接触しているように見えますが、大量生産工程ではそれほど平坦にできるものはなく、隙間が存在します。この隙間がスロットになり、放射アンテナとなります。このような接合部の凹凸は、電気ガスケットを使用し、さらに固定具を追加することで、嵌合面を良好に接触させることができます。
RFI/EMI シールドは電気の問題の機械的な解決策です。筐体設計エンジニアは、使用可能なガスケットの種類やそれらの属性の違いを理解し、筐体の継ぎ目やドアなどにガスケットを収容するための十分なスペースがあることを確認する必要があります。航空宇宙分野では、機器やシステムの重量とサイズが重要であるため、可能な限り小型化することが求められます。このため、設計者が選択できるシールド オプションも、小型で良好なシールドを提供できるものでなければなりません。導電性エラストマは、モールド成型や押し出し成形のほか、非常に小さな構成部品に合わせて加工したり、ハードウェアに直接蒸着したりすることができるため、航空宇宙分野では最適な材料です。導電性充填剤は、シールドの要件に合わせて多数用意されています。また、フルオロシリコーン ベースは、燃料油などに対する耐性のニーズを満たします。
シールド ガスケットやシールド部品を組み込むスペースがない筐体にシールドを後付けすることは不可能ではないにしても非常に難しいため、常に最悪のケースを想定して設計し、設計プロセスの早い段階でシールドを検討することを目的としています。