任意の温度および電圧の組み合わせにおける定常状態の特性を特定する
リレーと温度は密接に関連しています。リレーは、周囲温度によって動作特性が変化します。最も顕著な変化は、VPI (ピックアップ電圧) および RC (コイル抵抗) で発生します。リレーのコイル巻線は銅線を用いています。したがって、コイル抵抗は銅線の温度係数によって変化します。リレーの通常の温度範囲において、銅線の変化は次のように表すことができます。
式 1 R1 = R0 x (1 + A x (T1 - T0))
各値の意味: R1 = 温度 T1 での抵抗値
R0 = 温度 T0 での抵抗値
A = ポイント (- 234.5,0) からポイント (T0 , 1) へのラインの勾配 ( T0 = 20°C の場合、A = 0.003929)
T1 = 対象の実際の温度
T0 = 基準温度 (一般的に 20°C が使用されます)
この式により、ある既知の基準温度における値がわかっていれば、対象の実際の温度におけるコイル抵抗を算出することができます。ここでは、ピックアップ電圧を確認してみましょう。DC リレーの場合、発生する磁力はコイルで生まれるアンペア回数に比例します。通常の温度範囲において機械力はほぼ一定であるため (そしてアンペア回数は固定されているため)、ピックアップ電流 (IPI) も一定であるという推論が成り立ちます。ピックアップ電流が一定でコイル抵抗が変化する場合、コイル抵抗の変化はそのままピックアップ電圧 (VPI = IPI x RC) の変化となって表れます。つまり、基準点が既知であれば、任意の温度におけるコイル抵抗とピックアップ電圧を特定するシンプルな数学的手法が成り立つことになります。
例:
リレーのパラメータが 20°C (T0) の環境で以下のとおりであるとします。
RC = 90 Ω
VPI = 6.5 ボルト
105°C (T1) におけるコイル抵抗を算出します。
式 1 から、次のように導くことができます。
R1 = 90 Ω x (1 + 0.003929/°C x (105°C - 20°C))
= 90 Ω x (1.334)
= 120.1 Ω
式 2
ピックアップ電圧を算出するには、R1 および R0 をそれぞれh V1 および V0 に置き換えます。
V1 = 6.5 ボルト x (1.334)
= 8.67 ボルト
係数 A を特定するには、以下の式を使用します。
A = 1 / (T0 + 234.5)
基準温度は 3 種類存在するため、A はそれぞれ以下のようになります。
ヨーロッパおよびアジアでは 20°C: A = 0.003929
国際標準 (IEEE) では 23°C: A = 0.003883
米国では 25°C: A = 0.003854
どの基準温度を使用するのかは、それほど大きな問題ではありません。過去の標準規格に対応し、あらゆる要求に応えられるよう、国際標準としては 23°C (+/- 3°C) が選ばれました。今後は、この値を使用して製品の仕様を定めることをおすすめします。これは、この値が 20 または 25°C のどちらの基準温度の値からも 1.2% 以内の範囲に収まっていること、および ISO 加盟国での採用が進んだ場合に、将来的な一貫性が確保されることが理由です。他の基準温度の代わりにこの基準温度を使用して、同等の値を算出することができます。なお、ヨーロッパでは、ほぼすべての仕様で現在でも 20°C の基準温度が使用されているのに対し、米国の多くの企業では、23°C の基準温度を採用し始めている点に注意してください。
温度がリレーのパラメータに影響する一方で、ほとんどの用途では、リレー内で失われる電力も温度に影響します。リレー内で失われる電力は、大きく 2 つの要素に分けられます。1 つ目は、電圧が印加されたときにリレー コイルで生成される熱です。この熱により、リレー コイルおよびパッケージの温度上昇 (温度の増加) が発生します。温度の上昇量は、複数の要素に左右されます。たとえば、使用されている銅線の量、絶縁体の厚さ、絶縁体の種類、ボビンの材質、ボビンの厚さ、端子のサイズ、導体のサイズ、設計に関連するその他の要素などです。このような要素のそれぞれが、生成された熱がコイル アセンブリから大気中に放出される流れを強めたり弱めたりすることになります。あるリレー設計において、このような要素はリレーの「コイルと大気間の熱抵抗」としてまとめられます。この値の大きさは、°C/ワット (W) で表されます。熱抵抗は、電気抵抗とコイルの電力損失によって生まれる温度上昇に類似するものであり、以下の式によって導かれます。
式 3
TRC = θ CA x PD
各値の意味: TRC = コイルの電力損失によって生まれる温度上昇
θCA = コイルと大気間の熱抵抗
PD = コイルの最終的な定常電力損失
通常のリレー温度範囲において、この関係は、以下を条件としてほぼ線形かつ一定となります。
- リレーが静止空気中に設置されていて強い空気の流れにさらされていないこと、または θCA の値が最終用途と同じ空気流量によって特定されていること (シミュレートが困難なため)。プリント基板用リレーについては、最終製品の筐体の中で使用されるため、多くの場合は静止空気という前提が成立します。
- すべての電力計算において、最終的に到達するコイル温度 (TC) でのコイル抵抗が使われていること。常温でのコイル抵抗が使用されていると結果が非線形となり、高温時に大きな誤差が生まれることになります。
- 熱抵抗値が、リレーが負荷電流を伝導していない場合のテスト データから導かれていること。
ここでは、データ ブックのパラメータ (リレーに負荷がかかっていない状態のパラメータ) を使って最終的なコイル温度を算出してみましょう。例として以下の値を使用します。
T0 = 20°C
V0 = VPI = 6.8 ボルト
R0 = 90 Ω
VA = 13.5 ボルト (VA = 印加コイル電圧)
θCA = 40°C/W
TA = 85°C (TA = 室温)
I L = 0 アンペア (IL = 負荷電流)
以下の値を求めます。
- 「コールド スタート」でのピックアップ電圧 (コイルの電力が事前に遮断されている) および TA におけるコイル抵抗
- 最終的な定常状態のコイル温度 (TC) および VA に対する抵抗値
- TA および VA における「ホット スタート」でのピックアップ電圧 (VA でコイルに通電している状態)
まず、85°C での R1 を式 1 によって求めます。
R1 = 90 x (1 + 0.003929 x (85 - 20))
= 90 x (1.2554)
= 113.0 Ω
次に、同じ係数を使用して 85°C での V1 を求めます。
V1 = 6.8 x (1.2554)
= 8.54 ボルト
次が難しい部分なのですが、コイルに 13.5 ボルトが印加された状態の TC を求めます。
式 3、および TC = TA + TRC and PD = VA 2/RC という事実から次の式を導きます。
式 4
TC = θ CA x VA 2/RC = TA
ここで問題が発生します。すでに見てきたように、RC は温度に伴って変化します。温度を計算しているため、可変要素は 2 つです。ここでは、最も簡単なアプローチとして、単純な反復を使用します。まずは、対象の室温におけるコイル抵抗を初期値として使用します。
TC1 = (40 x ((13.5)2 / 113)) + 85
= 64.5 + 85
= 149.4o C
次に、TC1 および式 1 を使用して、新たに RC の値を算出します。
RC1 = 90 x (1 + 0.003929 x (149.5 - 20))
= 90 x (1.5088)
= 135.8 Ω
ここで式 4 をもう一度使用します。
TC2 = (40 x ((13.5)2 / 135.8)) + 85
= 53.7 + 85
= 138.7°C
ここで TC2 における RC の値を改めて算出し、十分な精度が得られるまでこのプロセスを繰り返します。何度か繰り返すと、この例に対する答えは次のようになります。
TC = 140°C
最終的なコイル温度がわかったので、式 1 によって最終的なコイル抵抗を求めることができます。
RC = 90 x (1 + 0.003929 x (140 - 20))
= 90 x (1.4715)
= 132.4 Ω
「ホット スタート」でのピックアップ電圧は、同じ係数を使って求めることができます。
V1 = 6.8 x (1.4715)
= 10.0 ボルト
最後に残されたパズルのピースは、接点の負荷電流がリレー コイルの温度、さらにはそのパラメータにどのように影響するかということです。過去の研究から、接点の電力損失は独立した熱源として扱われ、その熱はリレーのパッケージに加えられます。コイル温度に対する影響は、さまざまな要素に左右されます。たとえば、パッケージのサイズ、接点とコイルの距離、接点の端子サイズ、接続しているワイヤのサイズ、共通の熱経路などです。繰り返しになりますが、このような要素は接点とコイル間の熱抵抗としてまとめられます。これにより、式 3 に類似する式が導かれます。
式 5
TRL = θCC x PK = θCC x RK IL2
各値の意味: TRL = 負荷電流によるコイルの温度上昇
θCC = 接点とコイル間の熱抵抗
PK = 接点における電力損失
RK = 接点回路抵抗
I L = 接点回路を流れる負荷電流
代替の手段として、そして過去のテスト データに対する最良適合曲線を得ることを目的として、以下の式から良好な近似値を求めることができます。
式 6
TRL = KRL x IL 1.85
この式は、複数のテスト結果から実証的に導かれたものであり、接点の負荷による最終的なコイルの温度上昇をうまく予測できています。値 KRL は、2 段階の温度テストから導くことができます。まず接点負荷がない場合の温度上昇を特定し、次に同じ条件で接点負荷をかけて測定するという方法です。コイルの温度上昇からコイルの電力損失による部分を減算すると、TRL と I L の組み合わせが導かれます。これらの値を使用して、式 6 の KRL を求めることができます。
これにより、求める各構成要素を加えることで、最終的なコイル温度がわかります。
式 7
TC = TA + TRC + TRL
= TA + θCA x (VA 2 / RC) + KRL x IL 1.85
この式では、反復により解を求める必要もあります。ここでの相違点は追加された TRL 項だけであるため、次の例をご自身で解いてみてください。
以下の点を除き、すべての条件は上記の例と同じです。
I L = 20 アンペア
KRL = 0.029
答えは 113.0 Ω、8.54 ボルト、TC = 146.5°C、R1 = 134.73 Ω、V1 = 10.18 ボルトとなります。
ここまでの説明で、適切なリレー データがあるという前提であれば、任意の温度および電圧の組み合わせにおける定常状態の特性を特定することができるようになったことと思います。ただし、ここで得られる値は、そのような値で継続的に駆動されている DC リレーにのみ適用される点に注意してください。断続使用 (1 分間など短時間「オン」にして、その後は長時間「オフ」にする) の場合は、発生する温度が大幅に低くなります。そのため、具体的なデューティー サイクルが既知のリレー動作については、ここで計算した継続動作時の温度を許容できない場合であっても、そのような具体的な条件を使用してテストを行うことで、許容できる結果を得られる場合があります。ここで紹介した手法は標準の DC リレーに当てはまるものです。コイル抵抗の式は、極性を持つ DC リレー (永久磁石を使用するもの) および AC リレーでも使用できますが、ピックアップ電圧の式はそのようなケースでは使用できません。極性を持つ DC リレーの場合は、温度による磁力の誘起変化を考慮する必要があります。通常、このような変化は、銅線抵抗に起因するピックアップ電圧の変化を引き起こす原因の一端となります。AC リレーの場合は、インダクタンスがコイル インピーダンスの大きな部分を占めることになり、コイルの巻き数に関連しています。インダクタンスは、温度による変化がわずかであるため、DC リレーと比較して、温度によるピックアップ電圧の変化量は小さくなります。
任意の温度および電圧の組み合わせにおける定常状態の特性を特定する
リレーと温度は密接に関連しています。リレーは、周囲温度によって動作特性が変化します。最も顕著な変化は、VPI (ピックアップ電圧) および RC (コイル抵抗) で発生します。リレーのコイル巻線は銅線を用いています。したがって、コイル抵抗は銅線の温度係数によって変化します。リレーの通常の温度範囲において、銅線の変化は次のように表すことができます。
式 1 R1 = R0 x (1 + A x (T1 - T0))
各値の意味: R1 = 温度 T1 での抵抗値
R0 = 温度 T0 での抵抗値
A = ポイント (- 234.5,0) からポイント (T0 , 1) へのラインの勾配 ( T0 = 20°C の場合、A = 0.003929)
T1 = 対象の実際の温度
T0 = 基準温度 (一般的に 20°C が使用されます)
この式により、ある既知の基準温度における値がわかっていれば、対象の実際の温度におけるコイル抵抗を算出することができます。ここでは、ピックアップ電圧を確認してみましょう。DC リレーの場合、発生する磁力はコイルで生まれるアンペア回数に比例します。通常の温度範囲において機械力はほぼ一定であるため (そしてアンペア回数は固定されているため)、ピックアップ電流 (IPI) も一定であるという推論が成り立ちます。ピックアップ電流が一定でコイル抵抗が変化する場合、コイル抵抗の変化はそのままピックアップ電圧 (VPI = IPI x RC) の変化となって表れます。つまり、基準点が既知であれば、任意の温度におけるコイル抵抗とピックアップ電圧を特定するシンプルな数学的手法が成り立つことになります。
例:
リレーのパラメータが 20°C (T0) の環境で以下のとおりであるとします。
RC = 90 Ω
VPI = 6.5 ボルト
105°C (T1) におけるコイル抵抗を算出します。
式 1 から、次のように導くことができます。
R1 = 90 Ω x (1 + 0.003929/°C x (105°C - 20°C))
= 90 Ω x (1.334)
= 120.1 Ω
式 2
ピックアップ電圧を算出するには、R1 および R0 をそれぞれh V1 および V0 に置き換えます。
V1 = 6.5 ボルト x (1.334)
= 8.67 ボルト
係数 A を特定するには、以下の式を使用します。
A = 1 / (T0 + 234.5)
基準温度は 3 種類存在するため、A はそれぞれ以下のようになります。
ヨーロッパおよびアジアでは 20°C: A = 0.003929
国際標準 (IEEE) では 23°C: A = 0.003883
米国では 25°C: A = 0.003854
どの基準温度を使用するのかは、それほど大きな問題ではありません。過去の標準規格に対応し、あらゆる要求に応えられるよう、国際標準としては 23°C (+/- 3°C) が選ばれました。今後は、この値を使用して製品の仕様を定めることをおすすめします。これは、この値が 20 または 25°C のどちらの基準温度の値からも 1.2% 以内の範囲に収まっていること、および ISO 加盟国での採用が進んだ場合に、将来的な一貫性が確保されることが理由です。他の基準温度の代わりにこの基準温度を使用して、同等の値を算出することができます。なお、ヨーロッパでは、ほぼすべての仕様で現在でも 20°C の基準温度が使用されているのに対し、米国の多くの企業では、23°C の基準温度を採用し始めている点に注意してください。
温度がリレーのパラメータに影響する一方で、ほとんどの用途では、リレー内で失われる電力も温度に影響します。リレー内で失われる電力は、大きく 2 つの要素に分けられます。1 つ目は、電圧が印加されたときにリレー コイルで生成される熱です。この熱により、リレー コイルおよびパッケージの温度上昇 (温度の増加) が発生します。温度の上昇量は、複数の要素に左右されます。たとえば、使用されている銅線の量、絶縁体の厚さ、絶縁体の種類、ボビンの材質、ボビンの厚さ、端子のサイズ、導体のサイズ、設計に関連するその他の要素などです。このような要素のそれぞれが、生成された熱がコイル アセンブリから大気中に放出される流れを強めたり弱めたりすることになります。あるリレー設計において、このような要素はリレーの「コイルと大気間の熱抵抗」としてまとめられます。この値の大きさは、°C/ワット (W) で表されます。熱抵抗は、電気抵抗とコイルの電力損失によって生まれる温度上昇に類似するものであり、以下の式によって導かれます。
式 3
TRC = θ CA x PD
各値の意味: TRC = コイルの電力損失によって生まれる温度上昇
θCA = コイルと大気間の熱抵抗
PD = コイルの最終的な定常電力損失
通常のリレー温度範囲において、この関係は、以下を条件としてほぼ線形かつ一定となります。
- リレーが静止空気中に設置されていて強い空気の流れにさらされていないこと、または θCA の値が最終用途と同じ空気流量によって特定されていること (シミュレートが困難なため)。プリント基板用リレーについては、最終製品の筐体の中で使用されるため、多くの場合は静止空気という前提が成立します。
- すべての電力計算において、最終的に到達するコイル温度 (TC) でのコイル抵抗が使われていること。常温でのコイル抵抗が使用されていると結果が非線形となり、高温時に大きな誤差が生まれることになります。
- 熱抵抗値が、リレーが負荷電流を伝導していない場合のテスト データから導かれていること。
ここでは、データ ブックのパラメータ (リレーに負荷がかかっていない状態のパラメータ) を使って最終的なコイル温度を算出してみましょう。例として以下の値を使用します。
T0 = 20°C
V0 = VPI = 6.8 ボルト
R0 = 90 Ω
VA = 13.5 ボルト (VA = 印加コイル電圧)
θCA = 40°C/W
TA = 85°C (TA = 室温)
I L = 0 アンペア (IL = 負荷電流)
以下の値を求めます。
- 「コールド スタート」でのピックアップ電圧 (コイルの電力が事前に遮断されている) および TA におけるコイル抵抗
- 最終的な定常状態のコイル温度 (TC) および VA に対する抵抗値
- TA および VA における「ホット スタート」でのピックアップ電圧 (VA でコイルに通電している状態)
まず、85°C での R1 を式 1 によって求めます。
R1 = 90 x (1 + 0.003929 x (85 - 20))
= 90 x (1.2554)
= 113.0 Ω
次に、同じ係数を使用して 85°C での V1 を求めます。
V1 = 6.8 x (1.2554)
= 8.54 ボルト
次が難しい部分なのですが、コイルに 13.5 ボルトが印加された状態の TC を求めます。
式 3、および TC = TA + TRC and PD = VA 2/RC という事実から次の式を導きます。
式 4
TC = θ CA x VA 2/RC = TA
ここで問題が発生します。すでに見てきたように、RC は温度に伴って変化します。温度を計算しているため、可変要素は 2 つです。ここでは、最も簡単なアプローチとして、単純な反復を使用します。まずは、対象の室温におけるコイル抵抗を初期値として使用します。
TC1 = (40 x ((13.5)2 / 113)) + 85
= 64.5 + 85
= 149.4o C
次に、TC1 および式 1 を使用して、新たに RC の値を算出します。
RC1 = 90 x (1 + 0.003929 x (149.5 - 20))
= 90 x (1.5088)
= 135.8 Ω
ここで式 4 をもう一度使用します。
TC2 = (40 x ((13.5)2 / 135.8)) + 85
= 53.7 + 85
= 138.7°C
ここで TC2 における RC の値を改めて算出し、十分な精度が得られるまでこのプロセスを繰り返します。何度か繰り返すと、この例に対する答えは次のようになります。
TC = 140°C
最終的なコイル温度がわかったので、式 1 によって最終的なコイル抵抗を求めることができます。
RC = 90 x (1 + 0.003929 x (140 - 20))
= 90 x (1.4715)
= 132.4 Ω
「ホット スタート」でのピックアップ電圧は、同じ係数を使って求めることができます。
V1 = 6.8 x (1.4715)
= 10.0 ボルト
最後に残されたパズルのピースは、接点の負荷電流がリレー コイルの温度、さらにはそのパラメータにどのように影響するかということです。過去の研究から、接点の電力損失は独立した熱源として扱われ、その熱はリレーのパッケージに加えられます。コイル温度に対する影響は、さまざまな要素に左右されます。たとえば、パッケージのサイズ、接点とコイルの距離、接点の端子サイズ、接続しているワイヤのサイズ、共通の熱経路などです。繰り返しになりますが、このような要素は接点とコイル間の熱抵抗としてまとめられます。これにより、式 3 に類似する式が導かれます。
式 5
TRL = θCC x PK = θCC x RK IL2
各値の意味: TRL = 負荷電流によるコイルの温度上昇
θCC = 接点とコイル間の熱抵抗
PK = 接点における電力損失
RK = 接点回路抵抗
I L = 接点回路を流れる負荷電流
代替の手段として、そして過去のテスト データに対する最良適合曲線を得ることを目的として、以下の式から良好な近似値を求めることができます。
式 6
TRL = KRL x IL 1.85
この式は、複数のテスト結果から実証的に導かれたものであり、接点の負荷による最終的なコイルの温度上昇をうまく予測できています。値 KRL は、2 段階の温度テストから導くことができます。まず接点負荷がない場合の温度上昇を特定し、次に同じ条件で接点負荷をかけて測定するという方法です。コイルの温度上昇からコイルの電力損失による部分を減算すると、TRL と I L の組み合わせが導かれます。これらの値を使用して、式 6 の KRL を求めることができます。
これにより、求める各構成要素を加えることで、最終的なコイル温度がわかります。
式 7
TC = TA + TRC + TRL
= TA + θCA x (VA 2 / RC) + KRL x IL 1.85
この式では、反復により解を求める必要もあります。ここでの相違点は追加された TRL 項だけであるため、次の例をご自身で解いてみてください。
以下の点を除き、すべての条件は上記の例と同じです。
I L = 20 アンペア
KRL = 0.029
答えは 113.0 Ω、8.54 ボルト、TC = 146.5°C、R1 = 134.73 Ω、V1 = 10.18 ボルトとなります。
ここまでの説明で、適切なリレー データがあるという前提であれば、任意の温度および電圧の組み合わせにおける定常状態の特性を特定することができるようになったことと思います。ただし、ここで得られる値は、そのような値で継続的に駆動されている DC リレーにのみ適用される点に注意してください。断続使用 (1 分間など短時間「オン」にして、その後は長時間「オフ」にする) の場合は、発生する温度が大幅に低くなります。そのため、具体的なデューティー サイクルが既知のリレー動作については、ここで計算した継続動作時の温度を許容できない場合であっても、そのような具体的な条件を使用してテストを行うことで、許容できる結果を得られる場合があります。ここで紹介した手法は標準の DC リレーに当てはまるものです。コイル抵抗の式は、極性を持つ DC リレー (永久磁石を使用するもの) および AC リレーでも使用できますが、ピックアップ電圧の式はそのようなケースでは使用できません。極性を持つ DC リレーの場合は、温度による磁力の誘起変化を考慮する必要があります。通常、このような変化は、銅線抵抗に起因するピックアップ電圧の変化を引き起こす原因の一端となります。AC リレーの場合は、インダクタンスがコイル インピーダンスの大きな部分を占めることになり、コイルの巻き数に関連しています。インダクタンスは、温度による変化がわずかであるため、DC リレーと比較して、温度によるピックアップ電圧の変化量は小さくなります。