TE のオートスポーツ用コネクタは、軽量と高性能を提供します。

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極端な高温に対する耐久性

相互接続はオートスポーツの新たな軽量化を提供しています。Paul Webb、セールスおよびマーケティング マネージャ、オートスポーツ

Formula 1 およびオートスポーツでは、軽量化が競技の優位性を得るうえで重要です。 さまざまな箇所でグラム単位の軽量を積み上げることにより、総合的に大幅な軽量を実現できます。また、我々は電子部品の高密度実装に向けて進めています。車の電子化が進むにつれて、車両空間を最大効率化し、電子回路が小型化になることは自然な流れです。ハーネスと相互接続システムが軽量化と小型化の機会を可能にします。コネクタとケーブルに対する第一の要件は、極端な温度と振動および一般的な液体や、特にブレーキ クリーナに耐えることができる確かな設計です。

TE Connectivity (TE) の DEUTSCH AS シリーズ コネクタは、コネクタの小型化を証明します。 コネクタの小型化、特に軽量化は、高密度なコネクタの開発に注力されます。ステンレス鋼製のシェルは軽量なアルミニウムに置き換わり、さらに軽量な複合材も利用できるようになっています。結合リングのような形状も小型化されています。コネクタの小型化に伴い、手袋を着用していてもコネクタの迅速で正確な脱着ができる、扱いやすさの問題にも注目する必要があります。複合材シェルを採用したコネクタは、軽量化のうえで魅力的な手法です。複合材コネクタを初めて検討した産業は、オートスポーツ市場での厳しい性能要求へ積極的ではありませんでした。特に複合材はブレーキ クリーナに耐性がありませんでした。その結果、設計者はそのような用途に背を向けていました。複合材は進化し続けています。複合材は大幅な性能向上を遂げており、まもなく次世代の複合材が自動車レースに全面的に適用できるようになります。複合材はオートスポーツで求められる軽量化、機械的および環境適合で新たな評価を受けるに値します。 

新世代の DEUTSCH AS コネクタは小型で軽量です。
新世代の DEUTSCH AS コネクタは小型で軽量です。

複合材は従来コネクタに対し、約 40 パーセント軽量化しました。 ポリマ材料の強化と発泡の最適化により、さらに 10 ~ 20 パーセントの軽量を実現できます。ファイバ材料だけでなくファイバ繊維長の増加も、完成部品の強度に大きな影響を及ぼします。強度のある材料を使用することで肉厚を薄くすることができ、それゆえ軽量化につながります。ポリマ複合材へ発泡剤やミクロスフェアの導入は、- 強化ファイバの体積が増加するという難問があるものの - 現在では実現可能です。高性能な薄肉絶縁被覆ケーブルを自動車レースに使用することは通常的になっています。TE の代表的な SPEC 55 ケーブルは、架橋 ETFE を絶縁被覆およびジャケットに使用しており、150°C または 200°C の耐熱温度と共に、優れた耐溶剤性を持っています。薄肉構造は性能を損なうことなく軽量化が可能です。民間自動車とミリタリ産業では、アルミニウム電線を軽量化のために使用し始めていますが、オートスポーツではまだ広く行きわたっていません。 

信頼性のあるコンタクトを使用することで、アルミニウム電線の使用が強化されます。
信頼性のあるコンタクトを使用することで、アルミニウム電線の使用が強化されます。

アルミニウム電線は取り扱いが難しいと見られています。 銅電線のような小さい曲げ半径が得られないほか、コールド フロー要因による信頼性のある接続に不安があります。コールド フローに対して信頼性と機密性に優れた接続ができるコンタクトが存在します。アルミニウムの導電率は銅の 60 パーセントなので、銅と同じ電流を流すには大きなサイズの導体を使用する必要があります。これらの欠点はあるものの、アルミニウムは銅の約 1/2 の重量です。

EMI への対応: 3 つの方法

レース カーではシールドの使用が控えられてきましたが、新たな技術の導入により、処理しなければならない新しいレベルの電気的ノイズが発生しています。たとえば、大電流エネルギの回生システムは電磁障害 (EMI) の発生源です。

1

分離

EMI の影響を受けやすい電線や電子回路を、EMI 発生源から離して配置します。車両の限られた空間では、ほとんどの場合この方法は現実的ではありません。

2

シールド

シールドは重量増加になることから、シールド ケーブルを標準採用するのではなく、必要部限定でしばしば使用されます。このシールドは、銅線の高密度編組でケーブルを覆い、その編組端をコネクタのバックシェルに接続することで行えます。この編組は低い抵抗値で、EMI をアースに導きます。TE は従来の編組と比較して最大で 50 パーセント軽量な編組システムを最近発売しました。

3

光ファイバ

光ファイバは本質的に EMI の影響を受けません。また、光ファイバ ケーブルは銅線ケーブルよりもはるかに軽量です。ガラスとプラスチック製両光ファイバ共に、オートスポーツ用途の候補です。ガラス光ファイバの利点は、帯域幅が広いことと使用温度範囲が高いことです - 特殊な光 ファイバには 700°C という温度のものもあります。欠点は取り扱いが難しいことです。ガラス光ファイバ ケーブルは堅牢で補強タイプもありますが、配線や曲げ半径に対して注意を払う必要があります。これら障害の多くはケーブル構造を工夫することで克服でき、建築、保守およびレーシング カーなどの厳しい環境に耐えられるガラス光ファイバが可能です。プラスチック光ファイバは、ケーブル自体とケーブルに付随する電子受信装置の両面で、ガラス光ファイバより低コストです。現在では民生用車両ネットワークに広く使用されており、機械的酷使や小さい曲げ半径も許容できます。主な障害は使用温度範囲で、一般的な POF ケーブルで最大 85°C、耐高温タイプで最大 125°C の制限があります。

複合材コネクタに新たな価値を見出すとすれば、電子制御ユニットや他のシステムに使用されるアルミニウム製ハウジングに代わる、価値ある選択肢である複合材エンクロージャです。 複合材エンクロージャで最初に目を引く利点は重量軽減です - カーボン充填の硫化ポリフェニレン製エンクロージャは、アルミニウム製ハウジングと比較して 40 パーセントの軽量化が可能です。複合材料は強度に優れ、他に類を見ない耐衝撃性、引張強度、曲げ強度などが得られます。また、へこみや変形を起こしにくいので、アルミニウム製の同等品よりも高い強度を持っています。金属製を複合材エンクロージャに変えても、金属製が持つ機械的および電気的利点をすべてそのままに生かすことができ、その上に軽量化、耐腐食性および低コストというさらなる利点が生まれます。 

複合材エンクロージャのメッキ種類を選択することにより、アルミニウム製エンクロージャに代わるシンプルで軽量な製品を提案します。
複合材エンクロージャのメッキ種類を選択することにより、アルミニウム製エンクロージャに代わるシンプルで軽量な製品を提案します。

新たな能力と材料製法は、お客様に多くの選択肢を提供します。 従来の充填材であるカーボン ファイバからミクロスフェアやカーボン ナノチューブへの変更により、エンクロージャの顧客仕様において、重量に対する電気的、機械的および環境性能との最適バランスを可能にします。先進的な成形技術により、埋め込み、コネクタ シェルの集約、分離壁、そして他の立体形状を可能にできます。金属被覆の選択により、回路パターン、シールド、アンテナの埋め込みまで、効果的コストでエンクロージャ内に集約することができます。立体成形と金属被覆選択により、基本的な複合材を超えた一層の軽量化を可能にします。 

結論

相互接続技術は進化し続けており、オートスポーツ用途で軽量化の新たな段階を提案しています。重要な点は、過去の技術が新たな技術として再登場してくることです。不十分であると思われていた過去の技術が進歩を遂げてきています。これまでの常識にとらわれないことが必要です。複合材コネクタとエンクロージャおよび光ファイバ、編組シールド、アルミニウム電線などは、すべて新たな評価に値します。TE の利点は、我々は相互接続に対してシステム観点で働きかけることです。ここでの数グラム重量増が、他所で数キログラムの軽量軽減につなげることができます。個々の部品で語るのではなく、レースで勝利を得られることが最終製品の証です。