対象となる産業分野

Ethernet を導入するうえでの設計上の課題

車載 Ethernet を産業車両および商用車の用途に導入する際に設計者がどのような重要な問題に直面し、当社の専門知識や DEUTSCH DT ハイスピード コネクタのような新製品によってどのような設計が可能になるかについて、詳細をご覧ください。

専門家

Paul Reil は TE Connectivity のプロダクト マネージャであり、この業界で 25 年の経験を持ちます。高速コネクタと回路の設計を担当している彼は、車載 Ethernet と最新の同軸プロトコルをベースとするデータ接続ソリューションを産業車両や商用車のお客様に提供することに尽力しています。

現在の車載 Ethernet ネットワークを可能にしている標準の M12 ベース 8 芯シールド ツイスト ペア ケーブルは、IEEE 802.3 仕様に準拠して構築された機器に徐々に置き換わりつつあります。100BASE-T1 (100 Mb/s) および 1000BASE-T1 (1 Gb/s) のデータ伝送速度に基づいたこの仕様では、ケーブルの体積、重量、コストを低減する単一のツイスト ペア ケーブルを介してデバイスを接続する車載 Ethernet (シングル ペア イーサネット) と物理ネットワークが定義されています。 

車載 Ethernet は現在、建機農機、商用車および 2 輪用 OEM の車載ネットワークの分野に進出しようとしています。しかし、既存のコネクタ製品には、この業界で既に必須とされている重要な特性が欠けているため、この新しい分野への進出の妨げとなる可能性があります。設計上の課題には、次のようなものがあります。

  • 極端な環境: 車載 Ethernet コネクタは、車両ネットワークでの使用を想定して設計されており、常に現場環境にさらされる建機農機、商用車および 2 輪での使用は想定されていません。温度、湿度、振動、衝撃はいずれも、送電効率や信号の完全性に影響を与える可能性があります。
  • バルクヘッド取り付け: 産業車両および商用車のデータ接続では、多くの場合、必要な空間とコネクタの数を最小限に抑えながら、バルクヘッドやパネルを通り抜ける必要があります。設計者は、保守性を向上させつつ、コストを抑えなければなりません。
  • ハイブリッド接続: 機器の機能が拡大するにつれて、ハーネスのルーティングや空間が課題となります。つまり、多くの場合、安全性と信号の完全性を維持しながら、電力とデータの伝送を 1 つのコネクタ ハウジングに詰め込まなければなりません。
  • チャネルの長さ: 標準の自動車用データ接続端子システム、ケーブル、および PHY (物理層) では、商用車両によく見られる長いチャネル (最長 40 m、それに対して標準の自動車用チャネルの最長は 15 m) がサポートされていないことがあります。長いチャネルでは、設計者は信号速度と信号の完全性との間でバランスを取る必要があります。

次の 60 分のウェビナーで、産業車両および商用車市場での課題と、これらの要件に応える当社のデータ コネクティビティ製品のラインナップをご覧ください。100BASE-T1 および 1000BASE-T1 車載 Ethernet ツイストペア接続用の IEEE 802.3 プロトコルと、同軸接続用の GMSL/FPDLINK プロトコルの性能を満たす製品をご紹介しています。

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TE では、上記の課題を解決するのに役立つさまざまな製品を提供しています。たとえば、ほこり、泥、湿気、極端な温度、激しい振動にさらされることが多い用途では、enetSEAL+ コネクタや MATEnet インサート付きヘビーデューティー防水型コネクタ シリーズなどの新しい製品を使用することで、信頼性の高い性能を持つ Ethernet 接続を提供できます。

 

enetSEAL+ コネクタは、堅牢な全二重電線対電線接続を提供し、多機能ディスプレイ、テレマティックス、テレメトリ ユニット、インフォテインメント モジュール、メディア アクセス コントローラ、外部カメラ、検知モジュールなどの用途に適しています。

 

MATEnet インサート付きヘビーデューティー防水型コネクタ シリーズは、幅広い構成が可能なハイブリッド接続を提供します。共通の付属品、構成、ハイブリッド設計を幅広く備えたこれらのコネクタは、ディスプレイ、カメラ システム、ネットワーク バックボーンなど、車両全体にわたる用途に利用できます。