一般

Q: リレーとコンタクタの違いは何ですか。
A: 一般的にはどちらの用語も同じ物理的原則で機能する電気機械スイッチング素子を指しています。これらの電気機械スイッチング素子では、電気接点を機械的に操作する磁力を発生するためにコイルが使用されています。低出力から中出力のデバイスを扱うさまざまな業界では普通「リレー」と呼ばれ、高出力の領域では「コンタクタ」が一般的です。リレーに使われているヒンジ付きのアーマチュア設計とは対照的に、磁気「モータ」はコンタクタのコイル ボディの中心にあるプランジャーによって実現されます。

 

Q: 新世代のコンタクタはガスを充填する必要がありません。ガス充填のいらないコンタクタにはどのような利点がありますか?また、ガスを充填したコンタクタには破裂の可能性がありますか。
A: スイッチング接点の保護およびスイッチング アークの迅速な消弧を目的として、多くのコンタクタには加圧した不活性ガスが充填されています。通常は窒素または水素が使われますが、産業用途では SF6 (六フッ化硫黄) も使われています。その一方で、コンタクタの製品寿命を通じてガスを確実に保持しなければならず、加圧されたガスの充填にはその設計と製造過程に多大な労力が必要とされます。当然のことながら、コンタクタはハーメチック シールされなければなりません。また、過電流や短絡が発生した場合には、非常に強力なアーク放電によって接触チャンバ内部に過剰な気体圧力が生じ、遮断の危険もあります。TE の最新のコンタクタは不活性ガスの充填が不要な設計で、ハーメチック シールの必要もありません。このような設計でも汚染に対する環境的な保護を確保しています。また、通気構造とすることでコンタクタの内部と外部の間に圧力差が発生しないようにしているので、極端なアークによる破裂の危険性を実質的に排除しています。ガスを充填していないコンタクタの詳しい利点については、TE Connectivity (TE) までお問い合わせください。 EVC 250 のビデオへのリンク

 

Q: 高電圧 (HV) リレーとコンタクタの用途は何ですか。
A: ハイブリッド自動車と電気自動車では、主に以下の用途で高電圧リレーとコンタクタが使用されています。

  • メイン コンタクタ: 車両を駆動するメイン バッテリーのプラス側回路とマイナス側回路の両方に使用されています。メイン コンタクタの目的は、車両の電気ドライブトレーン全体とメイン バッテリーとの接続を開閉することです。
  • プリチャージ リレー: プリチャージ抵抗器との組み合わせでパワー インバータのフィルタ コンデンサをバッテリー電圧の 90 ~ 98% の電圧まで充電し、過剰な突入電流からメイン コンタクタを保護します。
  • チャージャー コンタクタ: 車両が充電ステーションに接続されたときに、バッテリー チャージャーとメイン バッテリーとの間の接続を確立します。
  • 補助コンタクタ: 車両の電気負荷のうち、高電圧バッテリーで動作する上記以外の負荷を制御します。その例として、全面的に電気駆動の自動車の車室に使用する電気ヒーターがあります。このような車両では、暖房に使用できる廃熱を発生する内燃機関がないからです。

また、定置システムにも自動車用高電圧コンタクタが使用されることがあります。たとえば、DC 充電ステーション、定置バッテリー保管システム、無停電電源システムがあります。

電気特性

Q: コンタクタを使用できる性能範囲はどのようになっていますか。
A: TE のコンタクタのポートフォリオには、低電力の直列負荷とプリチャージ用途に向けた小型製品のほか、ピークパワーが最大で 500kW に達するきわめて高出力なバッテリー式電気自動車の要件に合わせたヘビーデューティー製品も用意されています。

 

Q: コンタクタで扱うことができる連続電流はどのくらいですか。
A: 一般的に、電流容量は内部熱損失と熱管理で制限されます。パワーの損失によってコンタクタの内部部品の温度が上昇し、その熱が外部に伝達されます。この外部温度の上昇によって、コンタクタで使用できる電流の上限値が決まります。TE では、接点端子の最終温度が連続で 150°C を超えないようにすることをお勧めしています。冷却機構の効率は、外部に接続した導体の断面積または熱抵抗、および周囲温度に左右されます。熱は電気接続を通じて周囲環境に伝導します。電流が一定であれば、システムは 3 ~ 5 分後に定常状態に達します。 例: 断面積が 50mm² の母線に接続した EVC 250 コンタクタでは、85°C の周囲温度で 250A の電流を扱うことができます。断面積が 125mm² の母線を使用すれば、この上限は 375A になります。

 

Q: コンタクタで扱うことができる過負荷はどのくらいですか。
A: 数秒間のピーク負荷であれば、端子温度の大幅な変化を引き起こすような急速な熱伝導は発生しません。長期間の過負荷では、コンタクタ内部の温度上昇により、回復不能な損傷となることがあります。EVC 250 コンタクタを例にとると、20 秒間では 1,500A、5 秒間では 2,000A の電流を扱うことができます。詳しい情報とサポートについては TE Connectivity までお問い合わせください。

 

Q: 短絡状態でコンタクタにはどのような現象が発生しますか。
A: 短絡状態では、増加した電流によって、接点の保持力を超える反発力が生成されます。コンタクタの遮断容量と電流容量に適したヒューズを併用していないと、コンタクタの接点溶着や過剰なアークが発生し、コンタクタが熱的に破損することがあります。EVC 175 コンタクタでは、許容電流上限は 5,000A です。また、EVC 250 コンタクタでは 6,000A です。過電流が中程度の短絡状態の場合、深刻な損傷からシステムを保護できるようにヒューズが溶断するには時間を要します。したがって、この程度の過電流はコンタクタで遮断する必要があります。400V 動作の回路では、1 つのコンタクタで最大 2,000A の電流を数ミリ秒以内に遮断できます。通常は回路に 2 つのコンタクタを設けるので、両方のコンタクタが同時に開くようにすることをお勧めします。その場合は、遮断電流上限が 400V で 6,000A になります。

 

Q: コイルの効率は何で決まりますか。コイルの駆動回路に対する要件はどうなりますか。
A: 高電圧を分離するには、大きな接点ギャップが必要です。開路位置では保持スプリングでアーマチュアを開路方向に保持し、適切な耐衝撃性を実現しています。この大きな接点ギャップと保持力を克服して接点を接続するには、強い磁力を生成する必要があります。この必要な磁力を実現するには、コイルの抵抗を比較的低く設計します。したがって、コイルの駆動回路は最大で 6A の電流を供給できる必要があります。このような大電流を流す時間は接点を閉じる期間に限定します。接点が閉じた後は、コイルの過熱を防止するためにコイル電流を少なくする必要があります。接点が閉じ、アーマチュアが所定の位置に置かれると、アーマチュアをその位置に保持するためにコイルに必要な磁力は一桁ほど小さくなります。このコイル電力の減少は、外部エコノマイザまたは内部のブースター/コイル保持構成で実現できます。

 

Q: 外部エコノマイザを使用してコンタクタを運用する場合に重要な点は何ですか。
A: 外部エコノマイザは、コイルに電力を印可した後の 100 ミリ秒以降で動作を開始するようにします。パルス幅変調 (PWM) では動作周波数を 20kHz 以上とすることをお勧めします。発振コイルに得られる電圧が必ず指定の保持電圧を超えた値になるようにします。スイッチオフ動作では、コイルの外部終端によって機械システムの応答時間が左右されます。したがって、接点を迅速に開路できるように PWM 駆動回路を終端する必要があります。当社の「データシート」にある「回路の推奨事項」を参照してください。EVC 250 メイン コンタクタのデータシートへのリンク。 コイルの抵抗はコイルの温度によって変化します。磁力はコイル電流でのみ決まります。PWM を特定のコイル電圧レベルに設定する場合は、これらの熱変動を考慮する必要があります。システムに対する熱負荷を最小限にするために、温度による影響を無視できるようにコイル電流を制御することをお勧めします。

 

Q: ブースター コイルによるコンタクタの動作で重要な点は何ですか。
A: ブースターの電子回路では、独立したブースター コイルにコイルの最大電圧が限られた期間だけ印可されます。このパルス動作は電圧の印加直後から始まります。閉路に必要な吸引電圧がブースターの電子回路のゲート時間以内に得られないと、コンタクタは閉路しません。したがって、50 ミリ秒以内に最小吸引電圧が得られるようにする必要があります。保持コイルの終端には 80V のツェナー ダイオードを使用します。並列に終端ダイオードを追加することもできます。終端電圧となるツェナー電圧 は 33V を超える値として、短いドロップアウト時間を確保します。

 

Q: コンタクタで負荷の極性が重要な理由は何ですか。
A: 高電圧での遮断は、接点端子に対して直角に配置したマグネットを使用して実現しています。両方の端子はブリッジによって内部で接続されています。固定接点から接点ブリッジが離れると 2 本のアークが生成されます。電流が順方向であれば、マグネットによってこれらのアークが外側に偏向するので、短時間でアークは消弧されます。電流が逆方向であると、2 本のアークが中央で結合する可能性があり、その場合は遮断容量が減少します。

 

Q: 双方向の遮断容量が必要な場合はどのような方法がありますか。
A: 回路に 2 つのコンタクタを使用する場合は、一方が順方向、他方が逆方向となるように配置します。両方のコンタクタが同時に開路する設計にすれば、順方向にコンタクタを 1 つ使用した場合に比べ、はるかに大きい遮断容量が得られます。

用途の推奨事項

Q: ハーメチック シールされていないリレーやコンタクタとともに使用するシリコン材料で考慮が必要な点は何ですか。
A: シリコンを含有した材料またはその誘導体を使用すると、電気接点の正常な機能が影響を受ける可能性があります。スイッチング接点に発生するアークのエネルギにより、揮発性シリコン分子がケイ酸化合物に変化し、接点表面に蓄積して絶縁層を形成します。したがって、目的とするシリコン材料の接触融和性を十分にテストすることを強くお勧めします。詳しい情報とサポートについては TE Connectivity までお問い合わせください。

 

Q: TE では、DC500V を超える用途に向けたソリューションを用意していますか。
A: 絶縁協調の要件に応じて、最高 DC900V まで対応するソリューションを用意しています。また、IEC 60664 に準拠した最大 DC1,000V の電圧レベル向けのソリューションを開発中です。詳細については TE Connectivity までお問い合わせください。

 

Q: スイッチオフの際に、コンタクタのコイルで発生する過渡電流からコイルの駆動回路を保護するにはどうすればいいですか。
A: コイルの駆動回路と並列にツェナー ダイオードを使用する方法が最適です。詳細については、各型番にリンクがある当社の「データシート」を参照してください。また、当社の製品カタログ で「すべてのドキュメントを見る」も参照してください。「自動車用アプリケーション ノート」と「リレーの定義」にも詳しい情報があります。

 

Q: コンタクタに対する母線の取り付けに関連してヒントはありますか。
A: 取り付けの許容最大トルクを守り、母線とコンタクタ端子との相互位置が正しくなるように取り付けて、接触面に均一な圧力がかかるようにします。皿ばね座金の使用をお勧めします。ケーブル ラグの取り付けでは、ケーブルがどこにも拘束されないようにします。

 

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