無人航空機に対応するコネクタ技術
無人航空機は、現代の戦闘空間において重要な役割を果たしています。UAV ミッションの成功に欠かせないコネクタ技術についてご紹介します。
無人航空機 (UAV) は、現代の戦闘空間において普及が進んでおり、不可欠な役割を担うようになっています。 しかし、その用途の拡大に伴い、過酷な環境に耐えながら、特定の性能とミッションに対応できる特殊なコネクタ技術が必要とされています。
UAV の通信の仕組み
UAV とは、ドローン技術に代表される遠隔操縦の航空機であり、電波や衛星通信でコントローラと結ばれています。これによりパイロットは、遠隔操作で UAV の動きをコントロールできます。また、無人航空機システムは映像などのデータを収集して、コントローラに送信することができます。こうした監視や偵察の任務を成功させるためには、無人航空機がどれだけ離れた距離にいるときでも、常にコントローラとの接続を維持できるようにする必要があります。
ドローンで使用されているコネクタ
ドローンなどの無人航空機におけるコネクタの役割は、過酷な状況下でもデータ、電力、信号のすべてを確実に伝達できるようにすることです。そのため、コネクタは UAV と操縦者の間で良好な通信状態を実現するうえで非常に重要な役割を果たします。
無人航空機技術に対応するコネクタ ソリューション
無人航空機用のコネクタ技術は、ミッションを成功に導くために必要な性能レベルで動作できるように、特定の要件を満たしている必要があります。つまり、サイズ・重量・消費電力が考慮され、高性能材料が使用され、衝撃と振動に対してテストされているほか、すべてのコネクタで耐溶剤性が確保されている必要があります。
サイズ・重量・消費電力 (SWaP):
新世代の無人航空機技術には、小型化、軽量化、省電力化が求められています。SWaP の低減は、任務配備の延長、燃費効率の向上、監視能力および戦闘能力の追加に不可欠です。構成部品の小型・軽量化に伴い、複雑な高速通信の要件や高機能化に対応するため、より多くの帯域が必要とされています。
材質:
コネクタの材質は、過酷な条件下でも性能を発揮できるものでなければなりません。さらに、SWaP の要件を満たすには十分な軽量化が必要です。
- 高強度アルミニウム合金により、シェルと結合リングの軽量化を実現しています。
- 導電性黒亜鉛ニッケル仕上げのコネクタは、ほとんどの無人航空機に適しています。
- 熱可塑性樹脂の絶縁体も軽量化に寄与しています。
- 高性能な金めっき圧着端子は腐食の影響を受けにくく、過酷な環境にも耐えることができます。
- フッ素化シリコーンは過酷な環境下でも良好な保持を保ち、燃料、オイル、溶剤などの物質にも耐性があるため、インタフェースやワイヤ シールに最適です。
また、すべてのコネクタ材質は、有害物質使用制限 (RoHS) および化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則 (REACH) に準拠している必要があります。
衝撃および振動:
- 自律ソリューション向けのコネクタには、衝撃や振動に対する厳しいテストが必要です。戦闘中の振動は予測できないことが多いため、コネクタに対して無作為に振動試験を行い、遭遇する可能性のあるどのような困難な状況にも対応できるようにすることが重要です。
- このような試験ではシェーカーを使って振動をシミュレートし、どのような条件でコネクタが故障するのかを調べます。正弦波振動試験 (デバイスが共振する周波数を見つける)、ランダムオンランダム試験 (広帯域と狭帯域の信号をランダムに使用する複合ランダム試験) なども、コネクタの耐久性や性能を調べるうえで有効な試験です。
耐溶剤性:
自律ソリューション向けのすべてのコネクタは、燃料、オイル、クリーニング液に繰り返しさらされても損傷がない状態を保てる必要があります。
TE Connectivity DEUTSCH コネクタ
TE Connectivity (TE) とその製品である DEUTSCH コネクタは、40 年以上にわたって技術と革新の限界を押し広げてきました。現在、無人航空機では、軽量化・小型化・高性能化に対する要求が以前にも増して高まっていますが、当社はそのような要求に対応する新製品よって、市場を常に前進させています。すべての DEUTSCH コネクタは温度サイクル試験済みで、嵌合時には IP67 に準拠した環境シールを実現します。
すべての DEUTSCH コネクタは、次のものも提供します。
- コンパクトな設計/最小スペースのエンベロープ
- 界面シーリングおよびワイヤ シーリング
- ブーツ結線の特徴
- プリント基板 (PCB) オプション
- ユニバーサル オプションあり (UAV 複合材ではない)
- 標準の圧着工具
- 目視できない状況での嵌合に対応
- コネクタのキー溝方向を視覚的に表示
- スクーププルーフ インタフェース
- シェル対シェルの接地 (UAV 複合材ではない)
- ポジティブ ロック カップリング機構
- バックシェルまたはブーツによる結線が不要
- インラインおよび 2 穴取り付けスタイル (UAV 複合材ではない)
- 表面仕上げオプション
- キー溝オプション
主なポイント
- コネクタは、無人航空機システムと操縦者間の通信をサポートするうえで非常に重要な役割を果たします。
- コネクタがミッションの成功に必要な性能を発揮するためには、SWaP、衝撃および振動、耐環境性、耐溶剤性などを考慮した作りになっている必要があります。
- TE の DEUTSCH コネクタは、このような点を考慮して作られており、航空宇宙・防衛・輸送の各市場での用途を想定して設計されています。
無人航空機の課題が解決します