5 つのセンサ技術

トレンド

産業用機械をスムーズに稼働させる 5 つのセンサ技術

Devin Brock、TE Connectivity センサ部門、製品情報およびトレーニング担当マネージャ

産業用の工場現場向けの用途で、センサは長年にわたり重要な役割を果たしてきました。しかし、工場の自律化と IoT 対応が進むにつれ、センサに対する要件はますます厳しくなっています。最新のセンサ開発は、小型化、デジタル化、センサの融合、低消費電力、ワイヤレス通信技術との統合など、IoT のトレンドから影響を受けつつあります。このようなセンサ トレンドを導入しつつ、工場現場で多く見受けられる過酷な環境にも対応する耐性をセンサに求めることは難しい問題ですが、適正な材料と設計があれば実現できます。IIoT 用途でのカスタマ エクスペリエンスや収益性の点で、産業用途における装置のダウンタイム低減はきわめて重要な、考慮すべき問題です。したがって、正確で信頼性の高いセンサ データが重要となります。

 

状態監視システムは、機器が正しく動作しているかどうかを監視し、劣化が始まった時点を識別するように設計されています。一般的には、重要な機器、および一般的な故障モードを識別するための評価が実行されます。この情報を使用して、機器の特定のコンポーネントを監視し、機械の劣化や故障モードの可能性を判断するために必要なデータを提供するセンサが選択されます。回転機械の高周波振動を監視する加速度計や、モータ ベアリング内の過熱状態を検知する温度センサなど、潜在的な故障モードを監視し、検出できる適切なセンサ技術を選択することが、工場現場での重要な機器の稼働時間を高めるために不可欠となります。振動、流体特性、圧力、温度、湿度、速度、位置の各センサは、いずれも産業用途の中で重要な役割を果たします。これらの産業用センサは、適切な分析と組み合わせることで、装置故障の予測、生産性の向上、メンテナンス コストの低減、作業者の安全性の改善によってダウンタイムの削減に貢献します。

 

産業分野での過酷な運用環境における重要な産業機器のダウンタイムを低減するには、次の 5 つのセンサ技術が鍵となります。

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振動センサ

産業機械において異常な振動は、メンテナンスが必要であることを示す重要な指標です。どの機械にも、その正常動作を示す固有の振動シグネチャがあります。加速度計は、機器の振動における振幅と周波数の両方を監視できます。振動の振幅が増大している場合や、通常より高い周波数または異なる周波数で振動が生じている場合は、機器の振動シグネチャが変化していることを意味します。こうした振動情報を使用すれば、機器の点検の必要性を判断できるだけでなく、修理や交換を必要とする特定のコンポーネントを検出することもできます。振動センサは振動のわずかな変化を測定できるため、これを基に予知保全や予防保全を実施することで、工場の稼働を効率的かつ継続的に維持できます。センサは、ボード マウントに対応した加速度計を使用して、制御装置や機器の内部に組み込むことができます。また、高耐久性と密閉性を兼ね備えたプラグ アンド プレイ型またはワイヤレスの加速度計を使用して、外部に設置することもできます。産業用加速度計は、一般的な産業用途の過酷な条件に耐えるように設計および製造する必要があり、重要な産業機械用途におけるさまざまなレベルの振動を正確に監視するための高感度、高分解能、および高帯域幅を備えています。

830M1

3 軸埋め込み 830m1 加速度計

工場のさらなる自動化が進む中、センサは重要な性能データを収集するために使用され、工場機械の効率性の向上に貢献しています。TE Connectivity の 3 軸埋め込み加速度計 830M1 は、広い帯域幅、小さなサイズ、低電力、確かな性能が不可欠な用途での装置健全性監視において、加速度を高度に検知します。

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圧力センサ

圧力センサは、産業プロセス制御、暖房・換気・空調・冷凍冷蔵 (HVACR) システム、産業ポンプ、コンプレッサといった幅広い用途において、液体または気体の圧力を計測します。このため、多くの製品は、汚染水や軽度腐食性の液体など、過酷な状態の媒体への曝露にも確実に耐えられるように製造されています。また、圧力センサはプロセス制御、プロセス監視、ポンプおよびコンプレッサ、多様な種類の空気圧および液圧システムなど、産業用途における重要な役割を果たします。低圧センサは、HVACR システムの空気流量を監視したり、交換の必要なフィルタを特定したりするために使用されます。工場のスマート化と相互接続が進むに伴い、企業ではよりインテリジェントで高度なソリューションの実装が求められます。最近の圧力センサの中には Bluetooth 接続機能が組み込まれているものもあり、過酷な産業環境で高性能を維持しつつ、ワイヤレス モニタリングを実現できます。

圧力センサ

スマート ファクトリでの使用に最適な、TE Connectivity の Microfused 製品ラインに属する M5600 ワイヤレス圧力トランスデューサは、ステンレス鋼とポリカーボネート ハウジングに収納され、過酷な産業環境に耐えるように設計されています。

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温度・湿度センサ

温度は最も広範な分野で検知される環境パラメータであり、状態監視、およびその他の産業用途で重要な役割を果たします。ステータ巻線やベアリングなど、あらゆるものの温度を監視するために、さまざまな技術が実装されています。摩耗や過負荷など、機器の早期故障とそれに伴うダウンタイムを生じさせる可能性のあるさまざまな状態を検知するうえで、温度は鍵となる要素です。塗料、溶剤、塗装用インクを使用するプロセスなど、さまざまな産業プロセスの制御と効率性において、湿度検知は温度検知と並ぶ重要な機能です。また、一般的な産業設備において、従業員の快適性と生産性は重要な考慮事項です。湿度と温度が特定の範囲内にあるように監視し、制御することは、従業員の生産性を最大化し、従業員の健康を維持する効果があることが明らかにされています。赤外線熱電対列などの非接触型温度センサは、従業員の健康監視に役立つ体温スキャン システムで使用されるほか、機械との物理的な接触が不可能な回転装置などの用途でも使用されます。

TSYS03

TSYS03 デジタル温度センサ

スペースがごく限られている用途での高精度温度検知用に設計された、TE Connectivity の TSYS03 デジタル温度センサは、業界トップクラスの小型 XDFN6 パッケージ、デジタル出力、および I²C アドレス構成機能を特長とします。

HTU31

HTU31D 湿度および温度センサ

湿度の正確かつ迅速な測定を可能にするように設計された TE Connectivity の HTU31D センサは、極端な温度や湿度にさらされる環境でも、高性能が長期間持続します。

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位置センサ

位置センサは、採掘機器、コンピュータ数値制御 (CNC) 装置、産業ロボット、オートメーション機器など、幅広い種類の産業機械を効率的かつ効果的に監視および制御するために必要となる、正確なフィードバックを提供します。しかし、極端な温度、湿度、塵埃、恒常的な衝撃や振動など、産業環境に共通のさまざまな危険要因は、多くのセンサにとって深刻な障壁となっています。異方性磁気抵抗 (AMR) 位置センサは、過酷な産業環境でも正確で確実な位置検知を行えることが実証された技術の 1 つです。また、AMR センサは温度や磁場強度の変化に対しても、比較的強い耐性を持ちます。線形可変差動変圧器 (LVDT)、高精度ポテンショメータ、ケーブル延長センサ (ストリング ポットなど) といった他の技術も、さまざまな産業用位置検知用途で活用されています。

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流体特性センサ

産業環境では、装置やシステムで使用される潤滑剤やオイルを監視するために、効率的なマルチパラメータ式のソリューションが必要となります。機械を効率的に作動させ、装置の寿命を最大化するために、潤滑剤は重要な役割を果たします。このため、流体特性センサはオイルや潤滑剤の特性を継続的に監視し、このオイルや潤滑剤の効率的な動作を確認し、交換が必要なタイミングを示します。これらのセンサが使用される産業環境は、塵埃や振動のレベルが高く、温度変化も著しいことから、きわめて厳しい条件となる場合も多々あります。したがって、正確で信頼性の高いデータを提供できるように、これらのセンサは堅牢なパッケージ内に収納し、過酷な条件への曝露に何年も耐えられるように最適化しつつ、耐久性の高い性能を長期的に維持できるようにする必要があります。

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