Industry 4.0 を大きく変える – 新しい SPE 標準
ハイブリッド シングル ペア イーサネット標準を採用することで業界においてスマート製造が現実に近づき、最終的にネットワークのエッジに イーサネット 機能がもたらされます。
近い将来、1 ケーブル イーサネットベースのコネクティビティ ソリューションがスマート ファクトリに導入できるようになります 次のレベルの自動化を実現し、製造面での生産性と効率をこれまでになく高めます。産業用シングル ペア イーサネット (SPE) の共通標準の確立を目指す TE Connectivity の取り組みによってこの技術的な躍進が可能になりました。産業用ネットワークのエッジに イーサネット をもたらすことを可能にする標準です。
フィールド デバイス レベルでのギャップ解消
標準のイーサネットが企業やワーク センター ソリューションの主軸となり、産業用イーサネット が製造現場のワーク ステーションと制御機器で高速通信機能を実現してきましたが、フィールド デバイス レベルではギャップがありました。近年驚異的な進歩を遂げた装置上のセンサは、高速 イーサネットと「言語」を共有しないアナログ技術およびフィールドバス技術を使用するネットワークの他の部分との通信が妨げられていました。幸いにも、新発表の産業用シングル ペア イーサネット (SPE) 標準によって産業用通信の透明性が向上し、クラウドからエッジで接続されたフィールド デバイスまで実質的にバリアフリーの接続が可能になります。
共通産業用 SPE 標準の定義
多くの議論と共同研究が行われた後、2021 年 9 月、コネクティビティ業者と業界団体は M12 コネクタを使用する IEC 63171-7 ケーブルを SPE の産業標準とすることで合意しました。IEC 63171-7 (あるいは略して「-7」) は 1 本のケーブルでハイブリッド SPE のインタフェースと送電を実現して最大 1 Gbps/600 MHz 高速データ伝送と最大 11 kW/16 A の電力を可能にします。これによって、エンジニアはデータを失うことなく各用途での装置間通信を最適化でき、コンピューティング能力を分散させてネットワークのエッジのデータをより合理的かつ透明性の高い方法で取得できます。
産業用 SPE 標準として -7 を採用することにはメーカにとってさらなる利点がいくつかあります。
- 既存の イーサネットインフラストラクチャとシームレスに融合します
- シンプルなプラグ アンド プレイ コネクティビティ機能を提供します
- 過酷な環境に耐えるように設計された単一のケーブルとコネクタの組み合わせを使用します
- データと電源端子に別々のピンを使用して電力オプションを増やします
- 製造装置で必要とされる信頼性・耐久性・安全性を提供します
- 1 ケーブル /1 コネクタ設計によってコスト全体を低減し、狭い場所でもスムーズに使用できます。これは小型化に向かう現在のトレンドにおいて重要です
SPE へのアクセス性の向上
-7 標準を使用することは Industry 4.0 の大きな未来を可能にするための重要なステップです。スリムかつ軽量ながら強力なこのコネクティビティ ソリューションは業界の現場レベルでのデジタル化を実現します。また、インダストリアル IoT (IIoT) インフラストラクチャの重要な一部になっています。
スマート製造への移行に備えるため、企業は従来の通信およびバス システム ソリューションをイーサネットベースのインフラストラクチャに移行する必要があります。しかし、当然のことながら、メーカはインダストリアル市場向けの SPE 標準なしで行動に移すことを躊躇していました。幸いなことに、-7 産業用 SPE標準 が発表されることでその障壁は解除されました。
国際標準が設けられることでメーカにとってのコネクティビティの選択肢が明快かつ合理的になり、産業用 SPE のセンサなどをフィールド デバイスに搭載することに自信を持って投資できるようになります。また、-7 標準を遵守することで企業は標準化されたインタフェースを使用できるようになり、より安全な計画が可能になります。さらに、イーサネットベースのハイブリッド電力/データ ソリューションによって、リアルタイム通信の効率性とクラウドからフィールドレベルまでの透明性を得ることができます。これら 2 つは、メーカが SPE に移行する上での大きな魅力です。
製造業におけるスマートテックのトレンドへの備え
ハイブリッド概念向けに規定された M12 コネクタはすでに産業市場全体で広く使用されているため、メーカは -7 標準を採用しやすくなります。企業にとっては特定の製造要件向けに機能するネットワークを設計する柔軟性が高まり、エンジニアがソフトウェアとデータを設定する自由度も高まります。したがって、センサからクラウドに至るまで、バリアフリーの通信エコシステムを作成することができ、装置対装置や装置対人間のシームレスな通信が可能になります。これは IIoT に革命をもたらしている機械学習や人工知能などの次世代イノベーションを企業が利用するために必要なことです。
また、-7 標準のハイブリッド構成によって、PoDL (power-over-data-line) Ethernet に必要なポイント間接続やネットワークを越えた電力供給を行う柔軟性が高まります。すなわち、さらなる高電流を複数のカスケード式電源デバイスに分配できます。
企業の製造最適化のサポート
TE Connectivity は自動車産業での SPE イノベーションを長年推進してきましたが、ついにこの技術の大きな優位性を製造現場に届けられることをうれしく思っています。産業用イーサネットコネクタとケーブルにはそれぞれの用途と利点がありますが、-7 産業用 SPE 標準がもたらすリアルタイム通信によって可能になる真に統合されたシステムに内在するチャンスは驚異的なものです。この国際 SPE 標準が受け入れられると、産業市場に技術の進歩がもたらされるとともに生産が最適化される企業が増加します。
TE Connectivity は、迅速な IIoT 推進とスマート製造の成功を求めているお客様の多様な要件に対応する次世代のソリューションを提供します。TE Connectivity には、お客様の野心的な Industry 4.0 目標の達成をサポートする SPE 製品の堅牢なラインナップがあり、それらの利用に関する専門知識と全世界のお客様に対応できるオフィスが備わっています。
Eric Leijtens、Strategic Business Development、TE Connectivity
Eric Leijtens は TE のインダストリアル ビジネス ユニット内のフィールドレベル コネクティビティ戦略を監督しています。また、SPE を産業オートメーションの標準とすることに力を注ぐ業界団体、SPE インダストリアル パートナー ネットワークの副議長でもあります。