センサ産業ロボット

トレンド

ロボットの進化におけるセンサの役割

ロボット オートメーションの進化を推進しているセンサについてご覧ください。

かつてロボットは、リアリティというよりサイエンス フィクションに近いものと考えられていました。 それはもう過去の話です。今日、ロボットは、私たちの日常生活の中でますます多くの役割を担っています。家庭の中ではロボット掃除機がごみを拾い、医療の現場では手術支援ロボットがより精密な手術を可能にし、警察では爆発物処理ロボットが不審な小包を検査しています。そして工場の現場では、自動車メーカや電子機器メーカ、工業生産企業のために、ありとあらゆる作業を請け負っています。

ロボット開発者や設計エンジニアと同じように、従来の産業ロボットや物流ロボット、協働ロボットにも、遂行するべき任務があります。そのためには、正確で安全なコスト効率に優れた作業を実行するためのソリューションが必要です。Industry 4.0 が業界の主流となり、製造現場においてロボットやオートメーション システム、制御システムを使用して、効率性、生産性、利益性の向上を図る工場が増えています。Industry 4.0 やスマート ファクトリは、従来の製造方法や産業的慣行がテクノロジー分野と混在するものと定義されています。その呼び名はともあれ、工場と製造業に目覚ましい進化をもたらしています。

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デジタル トランスフォーメーション (XD) の 4 つの重要なトレンド

Forbes Magazine に掲載された記事によると、「デジタル トランスフォーメーション (DX) には 4 つの重要なトレンドがある」ということです。メーカが細心の注意を払うべき 4 つのトレンドを以下にご紹介します。

 

  • コネクティッド コンシューマ、カスタマイズされた顧客体験: マス カスタマイゼーションの効率に顧客の要望に応じた独自の製品を組み合わせること。
  • コネクティッド ワーカー: 最も必要とされる情報による労働力の強化。
  • 最適化製品: リアルタイムのデータから得た予測の活用。
  • 転換製品: より多くの分析とデータによって実現する、故障や保守のニーズを予測できる製造現場の機械。

 

これらの 4 つのトレンドには、「検知」という基本的技術が共通しています。TE Connectivity (TE) では、産業ロボットの自動化に対するニーズが高まる中で、センシング技術はこれからもデータ収集の基盤となり、製造現場を密接につながる、コスト効率に優れた、信頼できる未来の工場へと変えていくと考えています。

 

実際に、TE ではロボットの未来に対応する準備が整っています。当社では、ロボット システムに要求される柔軟性と精度が高いほど、より柔軟な信頼性に優れたコネクティビティ ソリューションが必要になることを理解しています。自動車や航空機の製造から製薬産業、物流、金属加工に至るまで、最新世代の産業ロボットは非常に複雑な作業をこなします。

 

このようなロボット環境では、接続に失敗は許されません。TE Connectivity (TE) では、高精度の測定を可能にする荷重・温度・圧力・位置センサを豊富に取り揃え、予防保全用システム コンポーネントの正確な動作制御と確実な監視を実現します。TE は、設計エンジニアが直面する課題を解決します。

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課題: 精度と正確さ

ロボットの進化が定着する中で、メーカは、工場の現場の問題に対処するためには、ロボット装置の中に正確さと精度を備えたセンシング素子を組み入れる必要があることに着目し始めています。たとえば、協業用途では、センシング システムは人が近くにいることを検知するだけでなく、ロボットと近くにいる作業員の衝突事故を回避する必要があります。高度なセンサ技術は重要な要件ですが、これらの設計要件を満たすことは容易ではありません。柔軟な検知レンジと分解能は、ほぼすべての環境で必要とされます。しかし、工場の現場は汚れていたり、過酷な労働環境であることもあり、同じ環境の中で働く人とロボットを区別するのは難しい課題です。

センサの特長

温度検知技術

コンパクトなディスクリート負温度係数 (NTC) サーミスタ センサは、高精度の測定機能と優れた長期安定性を備え、産業機器の表面温度の監視に威力を発揮します。この NTC センサ技術は、セラミック材または金属材の抵抗特性を利用して温度を測定します。また、デジタル温度センサは、空間的に制約がある場所でも、高精度のロボット制御と温度最適化を提供できるように設計されています。距離を置いて温度を監視する必要がある高温プロセスでは、熱電対列赤外線 (IR) センサが非接触式温度測定を提供します。 

異方性磁気抵抗 (AMR) 技術

異方性磁気抵抗 (AMR) 技術と複数のフォーム ファクタを備えた KMXP 位置センサは、高温などの過酷な環境においても、きわめて高精度な信頼性の高い正確な測定値を提供します。多くの産業ロボット用途において、これらのセンサの役割はますます重要になっています。過酷な環境における先進的な用途には、油・ほこり・ちりにさらされても正常に機能するセンサが必要です。これらのセンサは、複数方向のオプションに対応する 2 つの異なる DFN (Dual Flat No leads) パッケージが用意されています。これらのパッケージは、ほぼすべての自動化アセンブリ プロセスに簡単に統合できます。

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課題: ロボット装置に関する個人の安全性

安全性は、ロボット オートメーション開発者の最優先事項です。産業ロボットは、職場にさまざまな安全上の問題を生み出す可能性があるため、「Do No Harm (害を及ぼさない)」の原則に従ったアプローチがこれまで以上に重要になります。これらのロボットは、自動車組み立てラインなどの工業生産の現場における重労働に広く使用されるようになっています。ロボットの安全性に関しては、厳格な規制に加えて厳しい罰則も設けられています。産業ロボットを導入する前に、メーカはこれらの規制をよく把握して、規制に適合した作業員に対する安全な環境を整える必要があります。ロボット装置が実装されると、作業員には新たなレベルの専門知識が必要になります。多くの場合、新しい装置の操作方法のトレーニングを受ける必要があります。また、適切な資格や学歴、ロボットに関する職務経験がある者を新たに採用しなければならないこともあります。

センサの特長

ピエゾ抵抗ロード セル技術

デジタル計器で重量を測定するように、ピエゾ抵抗ロード セルもセンサにかかる負荷に基づいて力を測定することができます。工場内の設定で、これらのセンサを工場のフロアマットに組み込むと、人が危険な工場設備の近くにいることを検知して、人身事故を予防することができます。

 

ロード セルは、工場内でコンポーネントやアセンブリを安全に移動するために、搬送装置にも使用されています。つまり、ロード セルは負荷の重量を判定して、重すぎたり不安定な場合には、故障モードやエラー モードに切り替えることができます。

 

FX29 小型圧縮ロード セル

FX29 は、コンパクトな圧縮ロード セルです。ミリボルト・アナログ・デジタル出力信号のオプションを備えた堅牢なセンサ パッケージで、卓越した価格対性能比を実現しています。

  1. FX29 荷重ロード セル (英語)

TE Connectivity (TE) の FX29 は、コンパクトな圧縮ロード セルです。ミリボルト・アナログ・デジタル出力信号のオプションを備えた堅牢なセンサ パッケージで、卓越した価格対性能比を実現しています。詳細についてはビデオをご覧ください。

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課題: IoT 対応デジタル インフラストラクチャへの移行

インダストリアル IoT (IIoT) には、メーカにとって膨大な生産力の可能性がありますが、真のメリットを実現するのは難しいことです。産業ロボットは本質的にコネクティビティを促進します。それは、より広範な IIoT イニシアチブの好調な出発点となっており、徹底的な統合へと変わりつつあります。TE では、企業はセンサの重要性を認識し始めていると見ています。IIoT 用途に対するアプローチの仕方が変わりつつあり、特に、企業が従来の業務領域と情報技術の融合にメリットがあると考える場合にその傾向が見られます。IIoT は、より優れた効率を生み出し、生産性を向上する可能性があると考えられています。実際に、業界アナリストは、2019 年からその先には、IIoT センサとネットワークによって実現する、人工知能 (AI)、機械学習、コンテキスト リッチなリアルタイムのデータ ストリームの組み合わせが、IIoT ビジネス ケースを抵抗しがたい魅力的なものにすると予想しています。

IIoT スマート ファクトリにより製造現場の先進化が進むと、TE Connectivity のセンサが提供するデータに基づいて動作するようになります。すでに IIoT を搭載した産業ロボットを世界中の製造現場に統合し始めている世界最大級のメーカもあり、予知保全センシング技術によって生産性の向上と予定外のダウンタイムの回避を実現し、時間とコストを節約しています。工場内の膨大な数のネットワーク接続されたロボットを使用して、ロボット性能に関するリアルタイムのデータを収集している大手自動車メーカもあります。ネットワーク接続されたセンサ技術により、組み立てライン全体が停止する前に、保守が必要とされるロボットを特定して性能問題を事前に対処することができます。将来は、これらのセンサによってロボットの精度と再現性がリアルタイムで監視・調整できるようになり、製品の品質向上を図ります。初期の段階からこのアプローチを採用しているのは、自動車業界だけではありません。ネットワーク接続されたロボット技術は、産業用印刷やパッケージングなどの産業用途、医療分野、食品サービス、法執行機関においてもその価値が認められています。

 

全般的に、私たちはネットワーク接続されたロボット技術の初期段階にありますが、さらに優れたコネクティビティへの期待もあります。この技術の進化に伴い、これらのシステムは工程内の適応型ツールへと移行します。つまり、生産性を最大限に高めるために、ロボットが自分の性能を監視して自動的に調整するようになります。多くの設備にとって、それはタイミングよく投資するということに他なりません。たとえば、より高性能のセンサの商業化によって、IIoT は一段と高度になります。かつては非常に高額であったセンサも、今では手頃な価格のよりコンパクトなセンサとなり、スマート ファクトリ化に貢献しています。センサ技術、デジタル補償と信号調整、ワイヤレス信号伝送の進歩により、投資もそれほど大きな負担ではなくなりつつあります。

 

それと同時に、ほとんどの人が生産性の見通しは明るいと考える一方で、技術担当者やネットワーク担当者は、ネットワーク セキュリティの観点からそれをリスクと捉えています。そこで、高い効率と生産性によって生じる費用削減便益と投資利益率 (ROI) を計算するための、小規模の概念実証 (PoC) アプローチを導入することが非常に重要になります。

 

センサの特長

圧力センサ技術

TE の圧力トランスデューサは、危険場所での使用など、さまざまな産業用途に適しており、国際的な認証を取得した製品を豊富に取り揃えています。また、ボード マウントに対応した圧力センサおよび媒体隔離型圧力センサは、埋め込み設計および OEM 用途に対応するアナログ出力またはデジタル出力が用意されています。

IoT スマート テクノロジー

前述の小規模の概念実証 (PoC) アプローチ導入を支援するため、TE では、高い効率と生産性によって生じる費用削減便益と投資利益率 (ROI) を計算するための製品を開発しました。この IoT スタート ツールキットは、センシング要素・電子部品・通信インタフェース・ワイヤレス機能などの包括的なソリューションが、すべて 1 つの使いやすいモジュールに収容されています。具体的には、この接続されたデバイスを IIoT 用途で実験的に使用することにより、接続されたシステムを試験・評価できます。

 

この画期的なツールキットにより、エンジニアは IoT アプリケーションの開発に着手し、リアルタイムでデータをすばやく抽出して成果を達成できます。

 

M3200 小型産業用圧力トランスデューサ

アナログまたはデジタル出力を備えた M3200 シリーズ産業用小型圧力トランスデューサは、液体または気体圧力の測定に適しており、汚染水・蒸気・軽度の腐食性流体などの難度の高い媒体でも測定できます。

  1. M3200 圧力センサ(ウェビナー動画:英語)

M3200 圧力トランスデューサとそのアナログおよびデジタル出力信号オプションについて説明します。

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結論

IIoT 市場向けのロボット ソリューションが進化を続ける中で、適切なソリューションによる受け入れ態勢は整っていますか?TE Connectivity では、お客様が必要とするデータを取得するためのソリューションを取り揃えています。これらのデータには、圧力・湿度・負荷・振動・温度・位置などの正確なリアルタイムの測定値が含まれ、また、製造現場における効率、生産性および製品の品質を向上させる利点もあります。TE のセンサは、急成長を遂げる IIoT (インダストリアル IoT) 産業を構成する必要不可欠な要素として、さまざまな機能と操作にわたり、非常に多くの用途で活躍しています。

 

TE の広範なセンサ製品のラインナップとエンジニアリングの豊富な経験により、エンジニアは IoT 用途における開発・革新を続け、最終的にはビジネスの成功、コミュニティの改善、そして人々のつながりに貢献することができます。

産業用センサ用途

TE Connectivity (TE) は、お客様のコンセプトをスマートで接続性に優れた製品へと変換する、革新的な産業用センサを製造しています。

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