ミサイル防衛システムの種類
適切な種類のミサイル防衛システム (およびその内部のカスタマイズされたコンポーネント) を選ぶことは、現代の軍事戦略において状況を一変させる決断になりえます。
国防という点で、適切なミサイルはゲーム チェンジャーになる可能性を秘めています。ほとんどの国は、防衛や脅威への対応のために、または戦争抑止力として、複数のミサイル技術プログラムを併用しています。 現在、比較的新しいミサイルのカテゴリが注目を集めています。極超音速ミサイルは新聞で大きく報道され、新兵器の設計や開発のイノベーションを加速させています。どの種類のミサイルを使用するかにかかわらず、すべてのミサイルは極限的な状況で意図したとおりに機能するよう設計および建造する必要があります。従来のミサイル防衛システムは次の 3 つのカテゴリに分けられます。
- 迎撃ミサイル
- 従来型ミサイル
- 戦略兵器
迎撃ミサイル
この最初のミサイルのカテゴリは、純粋に防衛を目的とします。迎撃ミサイルは、敵が発射したミサイルを標的に着弾する前に破壊することで敵の攻撃を防ぎます。米国には、「Phased Array Tracking Radar to Intercept of Target (PATRIOT) Advanced Capability-3 (PAC-3)」と「Terminal High Altitude Area Defense (THAAD): Integrated Air and Missile Defense」の 2 つの主要な迎撃ミサイル プログラムがあります。これらのプログラムの目的は、米国と同盟国を敵の攻撃から守ることです。
従来型ミサイル
従来型ミサイルは、発射される場所とその主な標的に基づいて次のように定義されます。
- 空対空ミサイル: 空対空ミサイルは、別の航空機を破壊することのみを目的として航空機から発射される弾頭です。AIM-120 高度中距離空対空ミサイル (AMRAAM) は、米国海軍および空軍で使用されている最も一般的な空対空ミサイルです。AIM-120 は、F-35、F-16、その他の米国戦闘機に適合しています。AIM-260 統合先進戦術ミサイル (JATM) は、次世代の空対空ミサイルです。
- 空対地ミサイル: このグループは、航空機から地上の標的に向けて発射されるミサイルで構成されています。空対地ミサイルは最近の米国軍事行動の主軸であり、将来の紛争においても重要な役割を果たし続けると考えられます。
- 対艦ミサイル: 空または地上から発射される対艦ミサイルは、海上の船や大型の軍用ボートを標的とします。対艦ミサイルは破壊目標と比較してコストが低いため、小国にとって有益です。
戦略兵器
戦略兵器は抑止力とすることを意図したもので、最終手段としてのみ配備されます。ミニットマン地上発射大陸間弾道ミサイル (ICBM) は、米国の主要な戦略ミサイル プログラムの基盤であり、その大きさは宇宙ロケット発射装置とほぼ同じです。この規模のミサイルは多額のコストがかかり、他のミサイルにはない保守要件もあります。
極超音速ミサイル
近年の紛争において、比較的新しいクラスのミサイルが新聞の紙面を賑わせています。それは極超音速ミサイルです。「極超音速」という用語は、マッハ 5 (音速の 5 倍) より高速に移動する物体を指すときに使います。一部の国はマッハ 10 より速く飛ぶ極超音速ミサイルを保有していると主張していますが、真偽のほどは定かではありません。
極超音速ミサイルは、驚異的な速度と、高度な操縦を可能にするアクティブ誘導システムを兼ね備えています。この先進的ミサイルは、従来型ミサイルよりはるかに低い高度を飛行し、予測不能な弾道軌道をたどります。そのため、極超音速ミサイルの飛行経路を予測して標的に着弾する前に迎撃することはきわめて困難です。
極超音速ミサイルは戦闘機から発射できます。潜水艦から発射実験されたこともあり、これが実用化されると、潜水艦は探知が難しいことから問題はより一層深刻になります。今日、米国とその同盟国は、自国の極超音速ミサイル プログラムの開発や発展に多大な投資を行っています。
軍事戦略の変わりゆく経済性
兵器の小型化、スマート化、効率の向上を受けて、軍事任務の成功の尺度が変化しています。
2022 年、100 万~ 200 万ドルの誘導対艦ミサイルが、推定 5 億~ 10 億ドルのコストで建造された船を沈めました。はるかにコストの低い兵器を使用して敵にこれほどの損害を与えられれば、戦闘において大いに有利になります。一国に、莫大なコストがかかるにもかかわらずはるかに安価な兵器による攻撃で失われるような軍事資産を持つ余裕はありません。
過酷な環境に耐えるミサイルの設計
ミサイルという複雑な物体には、精巧な電子機器が満載されています。兵器設計者に課される難題は、それらの電子機器は高温や過酷な環境に非常に弱いということです。
どのカテゴリに属するかにかかわらず、すべてのミサイルは地上、空中、海上の極限的な状況で意図したとおりに機能するよう設計および建造する必要があります。たとえば、マッハ 10 で飛ぶ極超音速ミサイルが大気に接近すると、ミサイル外殻との摩擦によってミサイルの外部気温が大幅に上昇します。ミサイルの表面では華氏数千度の温度が長時間持続し、ミサイルの構造に使用されている一部の金属は融点に達する可能性があります。
TE へのお問い合わせ
TE のミサイル防衛システム ソリューションの詳細については、2022 年度版ミサイル メーカ向け部品リストのインフォグラフィックをダウンロードするか、当社にお問い合わせのうえ、エンジニアにご相談ください。
主なポイント
- 適切なミサイルは現代の軍事戦略においてゲーム チェンジャーになる可能性を秘めています。
- 迎撃ミサイルは、敵が発射したミサイルを標的に着弾する前に破壊することで敵の攻撃を防ぎます。
- 空対空、空対地、対艦ミサイルは、敵への攻撃に使用される主なミサイルの種類です。
- 戦略兵器は抑止力とすることを意図したもので、最終手段としてのみ配備されます。
- 極超音速ミサイルは、驚異的な速度と高度な操縦性を兼ね備えており、迎撃するのは困難です。
- 米国とその同盟国は、他国の極超音速ミサイル プログラムに対抗するミサイル システムの開発を急いでいます。
- 一国に、莫大なコストがかかるにもかかわらずはるかに安価な兵器による攻撃で失われるような資産を持つ余裕はありません。
- ミサイルに満載された複雑で精巧な電子機器は、高温や過酷な環境に耐えられる必要があります。