トレンド
リアルタイムのリモート患者監視のトレンド
患者監視を変革するヘルスケア技術およびデバイスのトレンドについて詳しくご紹介します。遠隔地の患者が必要な医療を受けられるようになり、病院の再入院率が低下する可能性があります。
病院施設外で予防医療が受けることを想像してみてください。それはすでに始まっています。 新興企業、Fortune 500 に含まれる技術企業、保険会社、医療提供業者は、いずれも、病院の再入院率を減少させて遠隔地の患者に必要なケアを提供することで医療ケアの変革とコスト最適化を実現できる新しい製品とデバイスに注目してきました。遠隔患者監視は、今全盛期を迎えています。この進化するトレンドは、収まる気配がありません。遠隔患者監視によって、医療分野全体で患者の転帰や看護の質を根本的に改善することができます。これには、医療現場となる病院や診療所、在宅医療、過疎地域と発展途上国でのリモート ケアが含まれます。技術が劇的に進化し続ける中で、モノのインターネット (IoT) は、特により密接につながるヘルスケア エコシステムの構築において、さまざまな業界で中心的役割を果たす可能性があると考えられています。ヘルスケアにおいては、アプリケーション、デバイス、および人の対話と相互接続により医療ソリューションを提供する仕組みを IoT が再定義するかもしれません。そのメリットとして、コストが削減され、転帰が改善して疾患管理が向上し、患者の快適度も強化される可能性があります。
ここでは、患者監視分野に展開するトレンドと設計エンジニアが考慮すべき市場の推進力をご紹介します。明らかなこととして、IoT は重要な 2 つの分野にまたがっています。すなわち、ネットワーク接続されたスマートな製品・デバイスの開発と、ビッグ データの普及です。IoT は、ネットワーク接続されたスマートな製品・デバイスの開発と
ビッグ データの普及という重要な 2 つの分野に関連があります。
高齢化
慢性疾患にかかりやすい老齢人口が市場を牽引
世界で高齢化が進んでいます。健康で長生きする人がいる一方で慢性疾患を抱えたまま高齢化する人も少なくなく、医療システムや医療リソースに負担がかかるようになってきました。世界保健機構によれば、65 歳以上の人口は 2010 年の約 5 億 2400 万から 2050年には約 15 億にまで増加すると予測されています。そのほとんどは発展途上国における増加です。
米国医療情報学会 (JAMIA) のジャーナルに掲載された別の研究では「遠隔住宅監視によって、総合的な健康に関する患者エンゲージメントと、慢性的な病状の管理についての医療従事者からの推奨事項遵守に関する患者エンゲージメントが継続的に促進される」とされています。
患者中心のケア
価値に基づく医療、患者中心のケア、転帰に重点を移すヘルスケア業界
医療企業および医療従事者は価値に基づく医療に移行しつつあるのでしょうか。業界アナリストたちの答えは「イエス」です。価値に基づく医療に対する関心が高まることで、財政的な優遇措置から医療従事者が患者の状況に基づいて報酬を得る医療モデルに移行しつつあります。従来の検査・訪問・手技の回数に対する報奨金ではありません。医療の量ではなく、医療の質に関する問題です。
しかし、新しいデバイスや技術が多大な影響を与える可能性があります。その一部はすでに始まっています。一例として、人工膝関節の潜在的な問題を医療従事者が発見する際に、データセンサがサポートできるかもしれません。下肢全体にわたる力の相互配分や圧力パターンを要約する作業もサポートできます。生じそうなひずみを警告してもらえることで患者に大きなメリットがあるだけではなく、医療従事者にも週 7 日 24 時間の監視を利用して治療を調整できるメリットがあります。また、回復の遅れや長期の治療処置によって生じる追加費用も回避されます。
これはセンサ技術の進歩による成果の一例に過ぎません。新しいデータの収集がはるかに容易になることもこれに寄与しています。
ビッグ データ
あらゆる点で医療分野に大きな影響を及ぼす医療ビッグ データ
HealthIT Analytics の記事によれば、一部の業界アナリストは「ビッグ データ」がヘルスケア業界最大のトレンドであると考えています。たとえば、精密医薬、予測分析、機械学習です。ビッグ データは、腫瘍学から神経学、心臓学、ゲノミクス、およびその他の特殊分野に至るまで、患者それぞれにより適した治療法と診断ツールによってすでに多くの医療分野に大きな影響を及ぼしています。また、ウェアラブル機器、住宅監視、スマートフォンを介して情報を収集する新世代のデバイスやアプリケーションによって、患者固有のデータを入手することがますます容易になっています。スタンフォード医科大学院による「Harnessing the power of data in healthcare (データの力を医療に役立てる)」という論文では、ヘルスケア エコシステムのあらゆる要素にデータが浸透しつつあると考察されています。すなわち、医学研究、日常生活、患者の利便性、進行中のケア、予測、予防などです。そこでは、次のように述べられています。
「今後数年にわたってデータに重点が置かれることで、医療の個別化・予防化・予測化が進み、医療費が大幅に低減され、ペイシェント ケアが改善される可能性がある」
ビッグ データによって、医療従事者や医療専門家ははるかに大規模な人口基盤の中で蓄積と分析を行うことができ、新しいデータを大量に評価することができ、新しい研究や治療の機会が開拓されます。ここでも、遠隔監視システムがこの情報の収集をサポートして医療関連ビッグ データの分析を強化する役割を果たすことができます。
IoT
遠隔監視とヘルスケアの用途全般で役割が増大するモノのインターネット (IoT)
インターネットによってあらゆる物事が変化してきたことは多くの人が同意することでしょう。今度はモノのインターネット (IoT) がまたあらゆる物事を変化させると多くの人が考えています。最終的に、IoT によって患者と医療従事者が連携して慢性疾患管理の効率を改善できるようになり、つながりが強固となり、コミュニケーションがさらにオープンなものになるでしょう。
IoT 機能を医療機器に組み込むことによって医療の品質と効果が大幅に向上することは確実です。それによって、高齢者、慢性的な症状のある患者、常時監視が必要な患者に対して特に価値の高いケアが実現します。IoT によるヘルスケア サービスやウェアラブル医療機器に対する関心は高まってきています。センサ、アクチュエータ、その他のモバイル通信手段を備えており、クラウドベースのプラットフォームを介して患者データを継続的に監視して送信できる機器です。これらのデバイスは、バイタル サインの重要な変化を
医師や看護師に警告することができます。これは大きなビジネスになりつつあります。医療 IoT への支出はわずか 4 年で 1200 億ドルを上回る可能性があるという推計もあります。
今日のデバイスは、グルコース モニタや分娩監視装置から、心電図や血圧の測定に至るまで、患者のさまざまな挙動を監視しています。また、患者には医師による頻繁な経過観察が必要ですが、よりスマートな将来の監視装置によってそれも変わっていくかもしれません。たとえば、現在、一部のスマート デバイスは薬剤が自宅でスマート ディスペンサから定期的に服用されているかどうかを検知することができます。服用されていない場合は電話などの手段によって医療従事者からの連絡を発信し、患者に適切な投薬を促します。医療 IoT がコスト削減やペイシェント ケアの改善にもたらす可能性はほぼ無限大です。
ウェアラブル機器
成長を牽引し、医療を新しいフロンティアに導くウェアラブル医療技術のイノベーション
患者と臨床医による的確な意思決定を技術企業が医療組織と連携してサポートすることで、ウェアラブル医療技術の臨床用途が急速に進化しています。考慮すべき用途を以下に挙げてみます。
- 睡眠の遠隔監視および寝たきり患者のバイタル統計。
- 神経および筋骨格障害のある脳卒中患者の手の動きをサポートする Bluetooth センサ付きの手袋。
- 無痛かつ正確なグルコース監視。
- 乳幼児、手術後の患者、癌患者、高齢者に使用できる継続的体温監視デバイス (胸部ストラップなど)。
- ユーザーの脳波検査 (EEG) システムで不快感を測定して疼痛管理を改善するヘッドバンドやイヤホン。
- ユーザーについて学習する、パーソナライズされた AI ベースのウェアラブル技術。危険な健康状態である睡眠時無呼吸を認識して正常化するスマート ウォッチなど。
- 身の不自由な人の視力をサポートして状況を説明するスマート眼鏡。
多くの新しいデバイスが開発されつつありますが、デバイスによるデータの集計と共有や確実かつ安全な通信の確保の点ではまだ課題が残っています。