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極超音速ミサイルは優れた速度と機動性を発揮しますが、これらの長所を実現するにはコンポーネントの設計に独自の課題があります。
極超音速ミサイルは、比較的新しい種類のミサイルであり、マッハ 5 やマッハ 10 以上の飛行速度に達することができます。このような高速度ときわめて優れた操縦性をアクティブ誘導システムで組み合わせることにより、極超音速ミサイルは従来のミサイルよりもはるかに低い高度を飛行しながら、予測不可能な弾道軌道を維持します。その結果、このミサイルをその飛行経路を予測して迎撃することが困難になります。
その高速度と優れた操縦性から、多くの防衛プログラムが極超音速技術に投資しています。一方、極超音速ミサイルのこのような長所を実現するために、コンポーネント エンジニアリング上の複雑な課題が発生します。最適な性能を達成するには、きわめて過酷な条件に耐えて十全に機能するように、すべてのコンポーネントを設計製造する必要があります。
極超音速ミサイルは高速で飛行することから、1,648°C 以上の高温で長時間動作します。コネクティビティ製品に広く使用されている金属の多くは、この温度よりもはるかに低い温度で溶融し始め、樹脂や仕上げ材といった金属以外の材料を使用したコンポーネントも劣化する可能性が高くなります。
さらに重要なこととして、発射、ナビゲーション、飛行制御の敏感なサブシステム、追尾センサ、誘導プロセッサ ユニットが、このような過酷な条件下でも確実に機能できることが必要です。極超音速ミサイルの材料と設計には、熱衝撃、熱膨張、収縮、結露、放射線に耐えられることが求められます。
高速飛行と温度変動による劣化は、どの材料にも共通の懸念事項です。温度の上昇と空力負荷の増大により、極超音速材料の疲労寿命が影響を受け、ミサイルの構造的完全性が損なわれます。極超音速ミサイルの各コンポーネントでは、性能の最適化と残存性の優先性との間で適切な関係を見いだす必要があります。そのためには、コネクタなどの電子部品を耐久性の高い耐熱材料で製造するか、極端な熱や腐食環境から保護する構造とする必要があります。このような保護構造は、飛行中や保管中の極端な温度に対応できるように設計した断熱コーティングやメッキなどの技術で実現できます。
ミサイルを構成する多くのコンポーネントを小型化することによってサイズ、重量、消費電力を低減することは、戦場での性能向上につながります。SWaP の低減は重要ですが、複雑なコネクティビティ要件に対処しながら小型で軽量のコンポーネントを設計しようとすると課題が多くなります。軽量でありながら堅牢なサブシステムを実現する効果的な解決策として、スプリングとピンによる機構に軽量超合金を使用し、導電性を損なわずに優れた耐熱性を得る方法が考えられます。
TE Connectivity (TE) には、宇宙、航空、防衛などの過酷な環境での用途で数十年の経験があります。これにより、TE は、極超音速兵器システム向けコンポーネントの堅牢化とカスタム設計で比類のない能力を獲得しています。TE は、この独自で進化する用途でミサイル対応のコネクティビティ ソリューションを設計するためにコンポーネントの広範な研究開発を展開し、温度や振動の限界などの要因に基づく設計と材料のニーズを理解しています。また、各コンポーネントは、極超音速試験や、極端な温度への暴露などのシミュレーションも経て、現代の戦場で遭遇するさまざまなシナリオでの性能が評価されています。